ローリングストーン誌が選ぶ、2020年の年間ベスト・ホラー・ムービー10選

写真左から:Universal Pictures; Aidan Monaghan/NETFLIX; Universal Pictures; Shudder Films, 2


8位『ココディ・ココダ

Photo : Dark Star Pictures


遠く離れた場所でキャンプをするときは用心しよう。童謡の世界から飛び出してきたかのような風変わりな三人組があなたのテントを襲い、何度も何度も延々とあなたを殺しつづけないとは限らないから。スウェーデンのヨハネス・ニホルム監督が放つ傑作ホラー『ココディ・ココダ』は、ある家庭を襲った悲劇で幕を開ける。そのせいで夫婦(レイフ・エードルンド・ヨハンソンとイルバ・ガロン)は悲しみで放心状態になり、心に傷を負う。それから3年後、ふたりはキャンプに出かける。ここで待っていましたといわんばかりに凶暴な男、ゴスルックの浮浪児、白スーツがトレードマークの米作家トム・ウルフ顔負けの晴れ着に麦わら帽子という出立ちの変人(ペーテル・ベッリ)が登場する。ハッピーエンドなんて存在しないとあなたは言うかもしれないが、『ココディ・ココダ』にはそもそも終わりというものが存在しない。というのも、夫婦は見知らぬ三人組の手でサディスティックにいたぶられて死んだ挙句、すべてが振り出しに戻ってしまうのだ。そしていくつかのツイストとともに、またすべてが繰り返される。観ている人は、何週間も忘れられそうにない悪夢を見ているような気分を味わう。ありがとう、スウェーデン!(日本劇場公開終了



7位『Freaky(原題)』

Photo : Brian Douglas/Universal Pictures

スプラッターと入れ替わりという1980年代が誇る2つの映画ジャンルが見事に融合した『Freaky(原題)』。ヴィンス・ヴォーンが演じるのは、“ブリスフィールド・ブッチャー”と呼ばれる連続殺人鬼だ。この殺人鬼は、卒業生たちが帰省するホームカミングの時期にキャスリン・ニュートン扮する冴えない女子高生のようなティーンエイジャーたちを恐怖に陥れる。ある日、魔法の短剣でニュートン扮する女子高生を襲った殺人鬼は、殺害した女子高生の体に憑依していることに気づき、そこからいじめっ子に復讐したり、教師たちをボコボコにしたりと女子高生の逆襲が始まる。たしかに、クリストファー・ランドン監督によるマッシュアップがウケを狙いに行っているのは見え見えだが、同作はおどけと血の素晴らしいブレンドであり、異質な要素の組み合わせ以上の作品である。ランドン監督の『ハッピー・デス・デイ』シリーズ同様、『Freaky』は笑いと衝撃のどちらかを優先しようとは思っておらず、観ている人は両者の調和を感じる。というのも、失恋の痛手を負ったおっちょこちょいの女子高生に憑依した殺人鬼を観ながらクスクス笑っていた次の瞬間、マルノコ盤で体が真っ二つになるシーンに切り替わるのだから。これこそまさにエンターテイメントだ!(日本公開:未定)



6位『獣の棲む家

Photo : Aidan Monaghan/NETFLIX

南スーダンの内戦と筆舌に尽くしがたい悲劇から逃れてきたある難民夫婦のボル(ショペ・ディリス)とリヤル(ウンミ・モサク)は、亡命先のロンドンで新たな生活を送りはじめる。国からあてがわれたアパートメントは、古びているなんてものじゃない。彼らのアパートメントは幽霊でいっぱいなのだ。やがて夫婦はこんな問題にぶつかる。この古びた住居を“ホーム”と呼ぶ悪霊たちは、もともとここの住民なのだろうか……それとも、夫婦の歴史に深く根ざした何かなのだろうか? 脚本家・監督のレミ・ウィークスの長編デビュー作『獣の棲む家』は、単なるタイムリーなお化け屋敷物語ではない。同作は、現代の難民体験につきまとう危険と人間性喪失のプロセスをホラー映画というレンズを通して巧みかつ鮮やかに描いており、不気味で非現実的な要素によって社会的な主張が埋もれるようなこともない。「過去は死なない」という米作家ウィリアム・フォークナーの言葉をご存知だろうか? この言葉を頭の隅に置きながら、同作を観てほしい。(Netflixにて公開中)



Translated by Shoko Natori

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