神はサイコロを振らない、4人が語る「影響を受けた本」

左から桐木岳貢(Ba)、黒川亮介(Dr)、柳田周作(Vo)、吉田喜一(Gt)



メンタル削られながら歌詞を書いてる自分を「美しい」と思っている(柳田)

柳田 次に紹介したいのは、浅野いにおのコミック『おやすみプンプン』です。これまた自分を見ているようで、読んでいて気持ち悪くなるんですが(笑)、でも一瞬で読み終わってしまうくらい面白かった。

ー「プン山プンプン」という主人公が、幼少期から大人になるまでを描く長編ストーリーですよね。Kan Sanoさんもフェイバリットとして挙げていました。

柳田 そうなんですね。プンプンはいろんな女性と一悶着ありつつ、初恋相手である「愛子ちゃん」のことがずっと忘れられず、大人になって再会して一緒に堕ちていくという……。プンプンは自尊心が低く、「自分には何もない」という考えの持ち主。そのくせ「悩んでいる俺、かっこいい」みたいなイタイところもあって(笑)。その「自己憐憫っぷり」が自分を見ているみたいなんですよね。メンタル削られながら歌詞を書いてる時とか、そんな自分を「美しい」と客観的に思っているので(笑)。

ー確かにそれはイタイ(笑)。しかも、太宰治にも通じるものがあります。

柳田 そうなんです(笑)。僕は「勇気!元気!仲間!」みたいなのがあまり得意じゃなくて。人間のドロドロとした闇の部分が剥き出しになっている作品ばかりに惹かれてしまうんですよね。そこはうちの桐木も、近いものがあるんじゃないかな。

桐木 でも、次に俺が紹介するのは『金色のガッシュ!!』だよ?(笑)。これは、僕らと同世代ならほぼ知っているであろう漫画。学生時代はもう、教科書以上に読み込んだかもしれないですね。とにかく、泣きたいときに読むというか(笑)。たくさん登場人物が出てくるんですけど、どんどん死んでいくんですよ。しかも一つひとつのエピソードが濃すぎて涙なくして見られないんですよね。涙腺は脆くはない方だと思ってたのですが、『ガッシュ』だけは何度読んでも泣けてしまいます。

黒川 僕も次は漫画です。冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』が大好きなんですよ。主人公のゴン=フリークスが、まだ見ぬ父親に会うため、父と同じ職業であるハンターとなって仲間たちと冒険を繰り広げる内容。「勇気!元気!仲間!」みたいなの、僕は結構好きで(笑)。『ONE PIECE』とかもメチャメチャ読んでましたしね。どちらもストーリーがめちゃくちゃ面白いし、主人公がどんどん成長していく姿とかにも心から感情移入しちゃうんです。

ー吉田さんは、佐藤雅彦の『プチ哲学』を持ってきてくれました。

吉田 ざっくりいうと「モノの見方なんて考え方一つで180度くらい変わるよ?」ということが書いてある本です。そういう意味では、黒川が紹介した『ルビンの壺が割れた』にも通じるかもしれない。3カ月くらい前に買って読み始めたんですけど、「なんであんなことで悩んでいたんだろう」って、心の変化にも気づかされた作品です。

ー佐藤さんは電通時代、数々の名CMを手掛けたクリエイティブディレクターですよね。

吉田 友人が佐藤さんのことをすごく好きで、それでお勧めしてくれたんですよね。タイトル通り、そんなに難しい本ではなくて。挿絵と共に、軽いタッチで書かれたエッセイ集という感じ。それが意外と自分の心にすっと入ってくるというか。「今の時代『過程』よりも『結果』が求められるけど、本人にとっては過程が大事なこともあるよね?」という教訓も、分かりやすく噛み砕いて説明してくれています。

ー吉田さんは、荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』も挙げてくれました。

吉田 中学生の頃、お兄ちゃんが買ってきたのを読んでハマりました。自分の力だけで上り詰めていく人たちがたくさん出てくるんですけど、それって自分にない要素というか。「ああなりたい」という憧れから自己投影しやすかったのだと思いますね。

ージョジョはもはや一つの大きなカルチャーというか、ファンによっていろんな楽しみ方が生まれていますが、吉田さんはどんなふうに楽しんでいるのでしょうか。

吉田 作者の荒木さんの、ちょっとアート寄りな作風が大好きですね。好みが分かれるくらいインパクトのあるタッチですが、僕はもうラフ画集を見ているだけで興奮します。以前、『天野喜孝・天野弓彦 | ファンタジーアート展』に行ってものすごく感銘を受けたんですけど、そういうことへの関心はジョジョから始まっている気がしますね。

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