MONO NO AWARE 玉置周啓が「物語」に惹かれる理由

MONO NO AWAREの玉置周啓(Photo by Mitsuru Nishimura)



「マッシュアップをたくさんやっている」

最近は、イラストレーターつちもちしんじに感銘を受け、自分でも版画に挑戦するつもりだという。そんな好奇心旺盛な玉置の性格は、全く別のモノ・コトの中に共通点を見つけ新たな文脈を作っていく「エディター的な視点」を養った。

「唯一、自分に自信が持てるのはそこですね。“これとこれは似てるな”と思ったら、つなげていくヒップホップ的な感覚。映画を観ているときも“あの本のここと言ってることが同じだ”と思ったり、“この曲のリフが、時代もジャンルも全く違うこの曲のリフと似てるのは何故だろう?”と考えたり。自分の音楽の中でも、もはや元ネタが分からなくなるくらいそういうマッシュアップをたくさんやっているんです。編集者の松岡正剛さんが好きで、ああいうセンスで音楽を作れたらいいなと思っていますね」

そう言いながらタバコに火をつける玉置。彼がタバコを吸い始めたのは5年前、友人と3人でタイ、カンボジア、ベトナムをバックパック背負って回ったときだったという。

「タイってクラブ・カルチャーが盛り上がっているじゃないですか。僕は日本でクラブとか行ったことがなかったから、毎晩『クラブ行こうよ』って友人を誘うんだけど、2人ともラインツムツムに夢中で腰が重いんですよ(笑)。一人でクラブへ行く勇気はないから、とりあえず暇つぶしにタバコを買って吸ってみたのが始まりなんです。思えば、父方と母方、どちらのじいちゃんも愛煙家で。父方のじいちゃんは教師だったんだけど、職員室が真っ白になるくらいハイライトを吸いまくっていたらしく(笑)。母方のじいちゃんに至っては、一度病気になってタバコを止めるよう家族に言われたら、わざわざ家を増築して薪ストーブを炊ける部屋を作って、そこでガンガン薪を炊いてカモフラージュしてタバコ吸ってたんですよね(笑)。僕の両親は全然タバコ吸わないんですけど、見事に遺伝子を引き継いじゃいました」

現在は、アメリカンスピリットがお気に入りという玉置。歌詞を書くときや、インタビューなどで自分の考えをまとめたいときに吸うと、言葉がストンと落ちてくる感覚があるそうだ。

「あとは、お酒を飲んでいるとき。僕がお酒を飲む理由は人と話したいからで、難しい話になってくるとタバコが必要になりますね(笑)。そういえば以前、大学の先輩に『“ピート吸い”って知ってるか?』と言われたことがあった。リバティーンズのピート・ドハーティが、タバコを人差し指と親指で摘むようにして吸っていて。それを“ピート吸い”だと熱弁されたんですよ(笑)。タバコってそうやっていろんな人が『物語』を作っていくのが面白いなあと思って。職員室を真っ白にした父方のおじいちゃんの話も、薪を炊いて誤魔化した母方のおじいちゃんの話もタバコならではのエピソードだし、“ピート吸い”とかそんな下らないことを自慢げに言ってくるのも、全部楽しい(笑)。なんだか不思議な嗜好品ですよね」

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