YOASOBIが語る、影響を受けた10冊の本

「世界観を広げる“拡張器”の役割を担う」(Ayase)

ーところでYOASOBIのコンセプトは、「小説の世界観を音楽に落とし込む」というものじゃないですか。これまでの音楽制作とは全く違うものですか?

Ayase 「物語」を曲にするという意味では、YOASOBIも今までの音楽もそれほど変わらないと思います。ただ、誰かが作った物語がベースなので、自分だけでは絶対に出てこなかった言葉のチョイスや物語の展開、世界観を、自分の曲に落とし込んでいくのはとても刺激的ですね。

ーある意味では小説とコラボしているともいえそうですね。

Ayase 確かに。自分では想像し得なかった物語を受け取って、僕はその世界観を広げる「拡張器」の役割を担うというか。小説だけではたどり着かなかった景色を見せることが出来たらいいなと思っていますね。そうすればきっと、僕のように普段小説を読まなかった人が、僕らの楽曲をきっかけに小説を読むこともあるだろうし。それって音楽だけで完結するよりも、さらに多くの人たちに届けられる表現手段ということじゃないですか。とても理にかなっているし、意義のあることだと思っています。



『モンスターハンターポータブル 公式ガイドブック』
編:ファミ通書籍編集部

ー最後の1冊は、Ayaseさんがセレクトした『モンスターハンターポータブル公式ガイドブック』。いわゆる「攻略本」ですね。

Ayase ゲームの攻略本、めちゃくちゃ面白いんですよ。自分がプレイしているゲームの攻略本だけじゃなくて、やったことのないゲームの攻略本ですら面白くて(笑)。昔から仮面ライダーの怪人とか戦隊モノの敵キャラとか、クリーチャーに対する憧れがあるので、モンスターが紹介されているページのヴィジュアルだけでまずヤラレます。モンスターの生態とかも書いてあるから「図鑑」みたいな感じで楽しめるし。で、そのモンスターを倒すための武器に対する説明なんかも事細かく図解してあって。フィクションの世界なのに、実在することを前提としたような世界観の描き込みにグッとくるんですよね。

ー「架空の国の百科事典」のようでもあるし、博物館をめぐっているような感覚を味わえそうですよね。

Ayase そうかもしれない。あと、原宿のパンケーキくらい分厚いところも惹かれます(笑)。昔から『広辞苑』や、ハリーポッターの魔法の書みたいな「分厚い本」が大好きなんですよ。もうボロボロになるまで読み込みましたね。

ー今はコロナ禍でなかなか思うような活動がしにくい状況かと思いますが、YOASOBIのこれからの展望を最後に聞かせてもらえますか?

Ayase まずはライブをやりたいですね。まだ直接ファンの皆さんにも会えていないので。

ikura YOASOBIは結構、おうちで出来ることが多いグループでもあるので、この自粛期間を使ってたくさん準備をして、満を持してライブや音源リリースができるようにしていけたらいいなと思っています。

Ayase 「小説を音楽に落とし込む」というコンセプトを活かした演出も考えていますので、楽しみに待っていてください。



YOASOBI
コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」。2019年11月に公開された「夜に駆ける」は公開1カ月でYouTube100万回再生を突破。Billboard Japan Hot 100やオリコン週間合算シングルランキングをはじめ、各種配信チャートでも1位を獲得し話題となる。2020年5月にリリースされた最新曲「ハルジオン」は、LINE MUSICウィークリーチャートで1位を獲得。第2弾楽曲「あの夢をなぞって」の原作小説コミカライズが決定するなど注目を集めている。7月20日には第3弾となる新曲「たぶん」を発表。2021年1月6日にはEP『THE BOOK』をリリースする。
https://www.yoasobi-music.jp/

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