森敬太、スカート・澤部渡、唐木元、西村ツチカらが、年忘れ大雑談!トーベヤンソン・ニューヨーク・アワード2020

趣味のスーパーバンド、トーベヤンソン・ニューヨーク。各メンバーは、それぞれ本業と並行しながら活動を継続している。(Illustration by Tsuchika Nishimura)

トーべヤンソン・ニューヨーク(TJNY)のギタリスト、アートディレクター/グラフィックデザイナー森敬太による連載第9回は、毎年恒例の大雑談会。いつもと違う1年にも乱れることのない余談のキャッチボールが、年末の到来を告げる!(2020年11月23日、オンラインにて収録)

座談会参加者:森敬太(ギター担当、グラフィックデザイナー)/オノマトペ大臣(ラップ担当、サラリーマン/ラッパー)/西村ツチカ(ギター担当、漫画家)/澤部渡(ドラム担当、ミュージシャン)/唐木元(ピアノ担当、ミュージシャン)/玉木大地(キーボード担当、プログラマー)/金子朝一(ヴォーカル/ホイッスル担当、漫画家)/mochilon(ベース担当、ミュージシャン)

※この記事は2020年12月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.13』に掲載されたものです。

・ボーン・アンダー・そういう星

唐木:地元にギャングみたいな釣り人っていうか、釣りもするギャングみたいなのがいるの。そいつらと揉めてて。

森:松方弘樹みたいなやつ?

唐木:最初から説明すると、先々月くらいから、俺半端じゃなく釣るようになったのよ。

澤部:導入からおもしろいなー(笑)。

唐木:釣りを始めたころは、見当違いのことやってるアジア人がいるなみたいな感じで、みんな心配して声をかけてくれたりして優しかったんだよ。

森:おいおい、そんなんじゃ釣れないぞって?

唐木:そうそう。でもね、俺が何をやっていたかというと、東京湾の釣りをやってたんだよ。

西村:ニューヨークと違うんですか?

唐木:道具も理論も全てが違う。こっちにはない釣りスタイルだから、みんな「何だあいつは」みたいな感じなわけ。でも、俺は確信があったんだよ。東京湾にほぼ同じ種類の魚がいるんだけど、東京湾の魚って何十年もずっといじめられてるから、めちゃくちゃ頭良くなってるわけ。

森:魚はそんなに長生きしないでしょ。

唐木:違うんだよ。イギリスのシジュウカラが牛乳瓶あける話知ってる? 動物も文字は持ってないけど、文化は継承するんだよ。東京湾の魚は他の地域より圧倒的に頭が良くなってる。

森:魚の歴史だって何億年かあるんだから、その理屈だと未だに地引網とかにやられてるのってチョロ過ぎないですか?

唐木:とにかくだよ。新しい釣り方が出ては魚に学習されて、通用しなくなっていくのを30年以上ずっと繰り返してるの。東京湾の釣りは他になく変態的な進化を遂げてるんだよ。それをニューヨークでやったらどうなるのかっていうのが俺のコンセプトなわけ。

玉木:コンセプト(笑)。

森:もっと気楽に釣りしてよ(笑)。

唐木:最初3カ月ほとんど釣れなかったんだけど、ある日を境に隣の人の10倍くらい釣るようになっちゃって。

金子:なんで変わったんですか?

唐木:それは俺が東京湾の理論とテクニックを完全に身につけたから。

澤部:今日なんかすごいね。大丈夫ですか?

森:強めのドラッグやってません?

唐木:その釣果をインスタに上げてたら目立っちゃって。

森:とんでもないアジアンがいるぞ、あれがカンフーだと。

唐木:そう。俺が釣りしてるエリアには3つの釣りチームがあるのね。さっき言ったギャング、ブルックリンのおしゃれチーム、そして美容師。

森:なんだよチームって。個人競技の極みでしょ釣りは。

大臣:おしゃれと美容師まとめたほうがすっきりして良くないですか?

唐木:で、ギャングのチームから勧誘されたの。最初見た時はバカだと思ってたけど、お前はすごいなって。

西村:すげー! 黒澤明の『用心棒』じゃないですか!

唐木:だけどギャングはめちゃくちゃなんだよ。立ち入り禁止のフェリー乗り場とか、埠頭とか、どんどん入る。鎖とかでっかいハサミで切ってさ、そんで何度も逮捕されたりしてるの。

もち:その人たちは趣味なんですか? その感じで。

唐木:みんな趣味なんだけど、遵法感覚がおかしい。立ち入り禁止はどんどん破壊していく一方で、勝手にフェンスにロックかけて、他の釣り人が入れないようにしたりするんだよ。で、最初に鍵渡されたの。これ何?って聞いたら、これは42番埠頭のキーだからお前は入っていいぞって。

森:バカから借りたRPGツクールに入ってたシナリオみたいだね。

唐木:いま次のビザの申請中だし逮捕とかありえないんで、インスタのDMで「俺は団体活動が得意ではないから、申し訳ないけど、君たちのチームには入らない」って送ったの。

森:気の毒……。アメリカまで来てそんな辛い文面を……。

唐木:そのときは「そうか残念だな」ってなったんだけど、1週間くらい経って「お前がインスタで釣果自慢したせいで俺たちの釣り場が荒れた。今後この辺で釣りできると思うな」って言ってきて。

澤部:唐木さんの釣りって何なの一体。

唐木:結局直接会って、インスタは凍結する、カギは返すって落とし所で和解したの。ところがインスタに凍結しますって書いたら美容師とおしゃれチームが「何か揉めてるのか? 助けてやるからうちに入れ」ってコメント欄で勧誘してきて、ギャングとおしゃれチームは敵対してるのね、「おしゃれチームに入ったらどうなるかわかってんな」って……。

西村:映画『用心棒』のセオリーでいくと、唐木さんはギャングチームとおしゃれチームの間をうまく立ち回って、2つを抗争させるんですよ。それが唯一の生きる道ですよ。

一同:(笑)。

森:めんどくせぇ釣りだな!

唐木:そもそも浮世から逃避したくて始めた釣りだったのに、超浮世になっちゃって。もう釣りやめたいよ。本当にやめたい。

森:やめりゃいいじゃん(笑)。なんだよその悩み(笑)。

一同:(笑)。

西村:YouTuberになって東京湾理論を伝道すればいいじゃないですか。唐木さんのチーム作れますよ。

唐木:それ頭撃たれるやつじゃん!

森:河に浮くやつ(笑)。

唐木:俺は一体何やったらいいんだろう……。サーフィンやっても釣りやってもこれだよ……。

森:ボーン・アンダー・そういう星ですね。

もち:グルになるしかないんじゃないですかやっぱり。

森:宙に浮くやつ(笑)。

・また来ちゃった


西村:大臣、Go To利用してそうですね。

大臣:2週にいっぺんくらいはGo Toトラベルしてますよ。

一同:(笑)。

西村:ゆとりありますねー。Go To楽しい話で埋め尽くしましょうよ。

大臣:そうですね。この間、葉山に行きまして、あまりにもパンが美味しかったんで、6日後にもう1回行っちゃって。

一同:(笑)。

玉木:すごい余裕だなー(笑)。

大臣:また来ちゃった、みたいな顔して。

唐木:なんてのんきなんだよ。ふるさと納税とかしてそうだもんね大臣は。

大臣:あ、きっちりやってます。5カ所分できるんで、全部やってます。

森:スゲー! 何がもらえるやつ?

大臣:再来週、しゃぶしゃぶセットが届きます。楽しみで仕方ないですよ。

一同:(笑)。

森:国の制度フル活用だな! 禍を満喫してるじゃん!

金子:西村さんは変わってなさそうですね。去年の年末と一緒の段ボールが積まれてる(笑)。

森:西村くんだけ違う時空間に閉じ込められてるみたいだね。その段ボールの後ろの棚には1年間触れる用事がなかったの?

西村:これを片付けるのは……来年以降でしょうね。

大臣:あえて年という単位で区切るならそうでしょうね。

森:西村くん、KIRINJIのグッズのイラスト描いてたよね。

澤部:あれ良かったですね!

森:あのグッズとスカートの10周年記念似顔絵入り丼を見比べて、なんでこうも違うんだろうと思ってたんだよ。

澤部:同じ人が絵描いてるのにね(笑)。

西村:もちろん僕も絵の描き方変えてますからね。相手見て変えてます。

一同:(笑)。

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