森敬太、スカート・澤部渡、唐木元、西村ツチカらが、年忘れ大雑談!トーベヤンソン・ニューヨーク・アワード2020

趣味のスーパーバンド、トーベヤンソン・ニューヨーク。各メンバーは、それぞれ本業と並行しながら活動を継続している。(Illustration by Tsuchika Nishimura)



・もう贖罪は終わってますよ

澤部:そろそろ振り返ればいいんじゃないですか?

森:振り返るか……。この座談会の下準備で、2020年のニュースを片っ端から見返してメモする作業に身を入れすぎたみたいで、この前仕事のメールで「どうもありがとうございます」って打とうと思ったら「ど根性大根」ってサジェストされて。心底嫌になったよ。

大臣:この忙しい年末に。こんなことをするために生を受けたのかって思っちゃいますねそれは。

澤部:この「JR大阪駅前にど根性大根生える アスファルトの隙間」っていうのと「JR大阪駅前のど根性抜かれ、代わりにワケギ置かれる」っていうニュースですね(笑)。今年2回出てきたから(笑)。

森:言うことあるわけないじゃんそんなニュースに対して!

大臣:驚くほど感情が動かないですね。

森:こうやって並べて見てみると、今年も軽率なニュースが目につくね。

唐木:俺はこれに揺さぶられたな。「つくば市郵便局員、14年間配達せず」。

西村:一貫してこういうの注目してますよね。

森:やっぱり世の中がどれだけ緊迫しても、気の緩みみたいなものを前面に押し出して生きてる人が好きだから。この人がすごいのはさ、未配の荷物を職場のロッカーに隠してたんだよね。職場のロッカーあけたら、見られちゃいけないゆうパックが山みたいにあるんでしょ。大変だと思うよ。開け閉め。それを14年間も続ける根性。本当すごいよ。見上げたもんだよ。

大臣:捨てずに置いておくっていうのはどういう気持ちなんですかね?

森:いつか配ろうと思ってたんじゃない? それもすごいわかるよ。

大臣:いい人じゃないですか(笑)。

唐木:わかる。本当にわかる。

森:結局こういった出来事の全ての根底にあるのは、今日さぼっても、明日2日分働いたらなんとかなるから寝ちゃおうって考え方なんだよね。

澤部:身を切られるようですね……。

唐木:共感性羞恥の波が押し寄せてきたよ。

森:14年間配達しなかったら、もうそれでいいじゃんってなるよ。荷物捨てずに取っておくなんて出来た人だよ。

大臣:もう贖罪は終わってますよ。

一同:(笑)。

金子:終わってはいないでしょ(笑)。始まってもない(笑)。

大臣:俺は許しますよ!

森:実害ないから、そりゃ許すだろうよ(笑)。「佐賀市郵便局員、ほこらの下にゆうメール556個隠す」。これもあったね。

澤部:ほこらって意外に収納力高いんだっていう発見がありましたね。

大臣:アライグマとかの発想ですよね。

森:横領するとかじゃなくて、ただただ早く帰りたかったっていうのがすごく正直でいいよね。

金子:「三重大准教授、ドア23枚叩き壊す 職場に不満」。パンチ効いてますね。

森:23枚って建物1棟のドア全部だよね。要するに。

玉木:1階から4階まで全て破壊したらしいです。

森:人間が出来てるよね。建物のドア全部壊すくらい怒ったら、普通は途中で人殴っちゃうよ。

大臣:生真面目ですよね。

唐木:検索してみたけど、弁償したんだねこの人。

澤部:ちゃんとしてるなー! 本物の人格者じゃん。

森:建物に対して誠実だよね。

西村:さっきからハードル下がりすぎでしょ、いい人の。コロナ禍といえども。ちゃんとした人は1枚もドア壊さないですよ。

森:ハッとすることを言うね西村くんは。

澤部:そんななか、「『噂の東京マガジン』終了発表」。

もち:やっと終わってくれるよ!

森:ついに落ちたね、イービル・エンパイアが。

一同:(笑)。

澤部:「やって!TRY」は悪夢ですもんね。

森:あんなにひどいもんないよね。道通ってる人に突然、カニクリームコロッケ作れって。広義の傷害行為でしょ。

もち:父親があの番組大好きで辛かった……。

一同:(笑)。

唐木:ブックオフの人まだ出てるの?

森:清水国明でしょ。

大臣:ブックオフもコンタックも出てますよ。

金子:テイク・ア・チャンスも。

森:なんでみんな出演者の名前を口に出すのを避けるんだよ。怖いよ。

澤部:避けたくなる気持ちはわかります。

森:ブックオフの店内で流れる曲あるじゃん、あのねのねのやつ。あのCDを大学4回生の時に10円で買ったんだよ。で、iTunesに読み込んだら、ジャンルが「BOOK」って出てさ。悪いやつがいるなと思ってたら、段々記憶が蘇ってきたの。それ大学2回生のときに俺が入力したやつだったんだよ! 背筋が凍ったね。

西村:全部一人でやってる(笑)。

大臣:ひどいタイムカプセルがあったもんですね。

・数え直したんですけど

森:来年こそはトーベヤンソン・ニューヨークで音楽活動をしたいという気持ちはあるよ。

澤部:毎年思うんですけどねー!

森:あれ? もしかしたら2021年は結成10周年の記念すべき年なんじゃないですか?

西村:ベスト盤出しましょうよ!

森:グレイテスト・ヒッツね(笑)。

大臣:ファンが選ぶベスト盤作りましょう!

金子:シングル1枚、アルバム1枚しか作ってないのに(笑)。

森:なんかやる気が出てきたね! 来年こそはやるぞ音楽活動!

玉木:数え直したんですけど、2021年は結成11年目です。10年目は今年でした。あと1カ月で終わります。

一同:……。

座談会を2回やっただけで結成10周年のアニバーサリーイヤーを無自覚に通過したTJNY。こんなはずではなかった、こうなる気がしていた、全てが思い通りになった、3つの感情が高度に混ざり合い、前代未聞の感慨となって机を照らす。バンドの初顔合わせなのに楽器も持たずに集まって、漫画の話題で最初の余談の口火を切った御茶ノ水のパスタ屋から10年。生活と物語を抱えて、ワイルドサイドを歩きスマホで共に蛇行した10年。ディスプレイに反射した自分はあの週末よりも若く、悪い予感のかけらもない。TJNYアワード2020を受賞したのは、全然溶けない飴、「梅ぼしの種飴(ノーベル製菓)」です。(森 敬太)

Illustration by Tsuchika Nishimura

森 敬太
京都府生まれ、デザイナー/アートディレクター。小説、コミック、CDなどの装丁を手がけながら、2011年から自主制作漫画レーベル「ジオラマブックス」を主宰、漫画誌「ユースカ」を発行。2017年、合同会社飛ぶ教室を設立する。Instagram : @m_o0_ri

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