モー娘。小田さくらが語る「実力派」の葛藤とプロ意識

「自分が動くことで、何かが変わる」

ー小田さんのターンがあって佐藤さんのターンが来るのも定番のスタイルになってきている感じはしますけど、今回はそれでもいつもと印象が違いました。

小田:はい。私のターン感が凄い出てます。14人いる中で私のターンってどれだけ重いものかっていうのを、感じながらちゃんとやりたくて。このパートは私が誰よりもきっちり出来るから、私が貰いました。だからちゃんとやりますって思わないと、もったいないです。逆に私以外の誰かがこのパートを担当することになって、その人が何となく歌っていたらふざけんなと思いますし。というのは全パートに対して思っています。AメロとかBメロとか、今回の曲だと“oh no baby”って言うパート、私には一回も来てないんですね。好きなリズムだから私も歌いたかったし……ってそういう風に考えるんです。

ーそういう気持ちの出し方が前より上手くなってきた?

小田:そうですね。「純情エビデンス」の初披露がテレ東音楽祭だったんです。ツアーとかで歌う機会もなく、いきなりTVの生放送で初生歌っていう環境で。“栄光は過去のもの”っていう、この私のターン、曲の中で最初に出てくるソロパートなんですよ。もし私のパートが失敗したら、練習してきてない感じが出るじゃないですか。だから絶対ちゃんとやるって思って。すごく気を張ってリハーサルに臨んだんですけど、その時に石田(亜佑美)さんが「やっぱあんた凄いわ」って言ってきてくれて。それで緊張がほぐれたというか、私が歌う意味だなって思いました。ソロパートの一人目の出来でその曲の印象が全然変わるし、その日1日のテンションもみんな変わると。曲に対する不安が生まれると思うんですよ。だけどちゃんと外させずに本番も歌えたっていうのが、自分の中では、この立ち位置だけは守って行きたいって思いました。ちゃんと信頼してそういう場所を持たせてもらえるように、これからもなりたいです。

ー小田さんはブログにファーストサマーウイカさんとの写真を投稿してましたよね。BILLIE IDLE®の話や初期BiSの話をしていて、すごくいいなーと思ったんですけど、モーニング娘。’20って親善大使的な存在だなって思うんです。J-POP、アイドル、ロック、芸能界、いろんなところに出て行けるし、そこでいろんな人たちに愛されつつ自分たちが作り上げてきたものを体現している。でも、小田さんが最初に言ってた「もっと多くの人に見つけてもらう」には、それだけでは足りないのかもしれないですね。

小田:そうですね。グループに加入して日が浅いとか、自分が生まれる前だから、どれほどのグループだったかをリアルタイムで知らないとか、そういうのはしょうがないとは思うんですけど、それを知ることでありがたみというか、特別なところに自分が今いるんだってまた一つ輝ける気がするんです。「自分はモーニング娘。のメンバーとして選ばれた人だ」って思うだけでも自信が増すと思うので、その上で個々で「何かやります!」って気持ちを大事にしてほしいなと。みんな謙虚なので、私のこのガツガツした感じは結構うっとうしがられるようなことも多いんですよ。けど言ってしまったら私だってオーディションで7000分の1になった経験があるわけで、14人のモーニング娘。’20の中で責任を持って頑張ってると思います。「自分が何かをすることで、何かが変わる」ということをもっと自覚してくれたらいいなって。1/14ではなくて、各々一人でもやっていけるくらいのスキルを持っているのに、なぜか14人揃うと一つにまとまるというのがカッコいいじゃないですか。それぐらいみんなが自分自身にワクワクしてほしいです。

ーその謙虚さがみんなから愛される理由にはなってますよね。

小田:愛されはします、身近な方から。愛されはするけど、でも 本当にそれしかできないの?って思うんですよ。みんなもっとできると思うし、私もこのグループが大好きでこれからも頑張って行きたいし、後輩にいろいろ伝えて行きたいけど、正直いつまでいるか分からない。そう考えると私くらいの自信家がもう一人ぐらいいても、輝けるんじゃないかなって。謙虚なだけのグループになってほしくないんです。奥ゆかしくて慎ましいのはいいことですけど、それってパフォーマンスに対しては違うと思うんです。謙虚すぎると自分たちのカッコよさに気づけなかったりするので、そこをもっと自覚したら、全員フル装備で戦えると思うんです。伝説の剣も持ってる、幻の鎧も着てるしみたいな状態で挑んでいけば、もっとカッコよくなる。自粛期間中に自分たちの映像を見て、モーニング娘。’20ってこんなにカッコよかったんだって、私ですら思ったので。

ーそういう意味で「純情エビデンス/ギューされたいだけなのに」はかなり強力な曲になったと思います。

小田:そうですね。この曲がきっかけで、自然とその道筋ができればいいし、私も何か手伝えたらいいなと思ってます。

【画像】メンバーのカラーで分けられたモー娘。のマイク(実際にライブで使用されるもの)

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Photo by Haruki Horikawa

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