つんく♂さんが求めていることーいわゆる「EDM期」と呼ばれるようになってから取り入れてきたビートの質感とつんくさんが持ってるJ-POP的な「味」が曲を重ねるごとに絶妙なバランスでミックスされてきてるんじゃないかなーって思うんですよね。例えば「恋愛ハンター」(2012年)、「ブレインストーミング」(2013年)、「わがまま 気のまま 愛のジョーク」(2013年)、最近だと「ジェラシー ジェラシー」(2017年)、「人生Blues」(2019年)みたいに。小田:たしかに。EDMというものに手を出すのが、本当に早かったです。「One・Two・Three」(2012年)とか衝撃でした。ここまでモーニング娘。は行くんだって。でも今「One・Two・Three」を聴いてもカッコいい。
ービートや音色が今っぽくても、結局モーニング娘。の曲になるっていうことは、つんく♂さんのDNAがめちゃくちゃ強いのかなって。小田:そうですね。そう思います。
ーだからEDM期より前の曲と今の曲を並べてもそんなに違和感がない。小田:最近の曲って、どこがサビでAメロやBメロはどれ?って曲が多いじゃないですか。「そうだ!We’reALIVE」も同じように「今これ何メロ?」「何この間奏?」みたいなのがあるんですけど、この曲がリリースされたのって約20年前で(2002年)。つんく♂さんの凄さを思い知らされます。
ー「純情エビデンス」はEDM期以降の一つの集大成的な形にもなったと思うんですよね。疾走感もあるしキラキラ感もある。緩急つくところでトラップっぽいアプローチが入っているところもいい。この曲に関して、小田さんが歌唱面で気をつけたところは?小田:とにかく自信を持つこと。この曲につんく♂さんが求めていることは、きっちり丁寧にというよりは、前へ前へのギラギラ感を出してくれよみたいな感じだと思うんです。だから私もこの曲は自信を持ってカッコよくやること。カッコよくってただただキメ顔することというより、そのキメ顔の中でふっと笑われると、その笑顔がすごい自信を持った人に見えたりするじゃないですか。そういう一瞬の笑顔みたいなものというか、内に秘めてるギラギラと、純情感。8年いるけどまだ純情みたいな精神がある……ということを自分がちゃん出そうって。こなれ感みたいなのは最近あったなと自分でも思うんです。パターンにはまってきたみたいな感じがちょっとあったので、そこからもう一回抜けたいです。この曲で。
Photo by Haruki Horikawa