モー娘。小田さくらが語る「実力派」の葛藤とプロ意識

「しがみついていれば良い」の意味

ー小田さんと佐藤さんが歌う“栄光は過去のもの/未来には適応外”からの“しがみついていれば良い”のラインが印象的でした。過去の栄光は忘れて前へ進もう!みたいな意識になりがちだけど、いい意味でしがみついていてもいいんだ!みたいな。

小田:そうですね。手放してはいけないんですよ。しがみついてればいいっていう表現、考えさせられます。自分が自分でいられるならば、それは持っておくべきと思うんです。しがみついたまま進んで行けばいいだけですから。この曲の歌詞、1番の“栄光は過去のもの/未来には適応外/しがみついていれば良い”があって、2番の同じ箇所では“友情は絵空事/だとしても大事かも/そこをうまくすり抜ける”と来て、人生の話から急に女の子の話になるじゃないですか。私は絵空事みたいな友情って、正直あんまり実感がない。でもそういう女の子たちもいる中で、「だとしても大事」っていうのはわかるし、「そこをうまくすり抜ける」っていうのが、女の子にとってはそれこそが人生だったりするのかなって。遠いところと近いところ、この差が凄すぎて、どっちも見える。あまりにも遠くを見すぎて手前のことが見えなくなる曲じゃなくて、そこを目指すんだったら、まずはこの辺から解決しなきゃ……みたいなのを感じる歌詞です。

ーライナーノーツでは「『純情』のエビデンス(根拠)を掲げるわ。信じられないならどうぞ、検証してみてください。ここまで言い切る私は生意気でなかなかいいでしょ!? 可愛いでしょ!? 好きでしょ!?ということを叫んでいます」と解説されていて、つんく♂さんは天才だなと思いました。

小田:つんく♂さん自身は本当にいつまでも若い方ですよね、心が。これだけの経験をしてきたら普通は達観してしまうじゃないですか。達観とかじゃなくて、なんか若いです。凄い。

ー「ギューされたいだけなのに」の“なんもわかってないじゃない”“なんも届いてないじゃない”とか、コロナ禍のこのご時世も考えると、いろんな意味ですごく「代弁してる」歌詞だとも言えますよね。こういう世界観はやっぱりつんく♂さんにしか書けない。

小田:これも凄い歌ですよね。私、この曲の主人公の女の子が10代なのか20代なのかで、意味が全然違うなと思って。10代だったら高校生の恋愛のように、むしろ憧れるくらい可愛いワガママって感じですけど、20代だったらちょっとヤバいかなと思いました。私は今21歳ですけど、この歌詞にあまり共感はしなかったです。私の想像の範囲を超えています。



ーたしかに「純情エビデンス」とは全然違う感情がありますよね。

小田:そうなんです。歌詞にある“青春エンドロール”だってまあまあなパワーワードじゃないですか。なのに“うさぎちゃんシンドローム”が強すぎて、青春エンドロールがかすむんですよ。うさぎちゃんは寂しいと死んじゃうんだよっていう曲ですもんね。なんかすごい、言いえて妙な表現をされたなって。

「純情エビデンス」は15期が入って若くなった影響が出てると思います。「ギューされたいだけなのに」は、横山(玲奈)とか森戸(知沙希)とか、あの辺がハマりませんか? 学生感みたいな雰囲気というか。つんく♂さんは私たちが中学生の時は、中学生に向けたような曲をくださったりしていたんで、メンバーに合わせて書いてくださってるなって感じます。

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