モー娘。小田さくらが語る「実力派」の葛藤とプロ意識

「もののけ姫」を歌う小田さくら

ー小田さんは、TV番組でも取り上げられた「逢いたくていま」だけでなく「First Love」「もののけ姫」などをカバーしましたよね。曲のスタイルもバラバラだしどれもめちゃくちゃ難しい歌曲ですけど、どうでしたか?

小田:「逢いたくていま」はすごい頑張りました。「The Ballad」を開催するより先にカバーすることが決まっていた曲です。サビは普通の音程なんですけど、私的に高すぎて音が出せなくて。でも練習をして、ボイストレーナーの先生にも助けていただいて、出せるようになりました。TV番組でも言われていたホイッスルボイスは、曲の最後でフェイクやってみてと急遽言われました。それまでフェイクなんてしたことがなくて、決められたものしか歌ったことがなかったので、アドリブでぱっと出たのがあの高さだったんです。そんな高い音出るの?って言われて、フェイクやってみようって言っただけのものがまさかTVで放送されるまでになるとは思ってなくて、うれしかったです。頑張って良かったなーって思います。



ー「もののけ姫」に関しては、ハロ!ステで冗談っぽくなる感じは避けたかったって言ってましたね。

小田:そうです。周囲の反応を見ていると「もののけ姫」難しそう、ちょっとネタ的に受け取ってる人も多い気がしました。「楽しみにしてるよ」って軽い感じで見られても、いやいや、こちらは真剣にやってるし本気なんだよっていうのを見せなきゃっていう。私、学生の頃から合唱が好きだったのもあって、ソプラノ歌手みたいに歌うのも楽しくて。今、YouTubeに公開されてるやつが、初めての「もののけ姫」なんですね。でもあの時より今の方が凄いです。自分でも気に入っていて、後輩たちが「何回も聴いてるのに今のほうが鳥肌立ちます」とか 、PAの方にも「どんどん凄くなってるね」って言っていただけたんですよ。だから自惚れではないなぁと思って。ちゃんとレベルを上げられてるのがうれしいです。



ー「召喚」ってワードを使って解説してましたけど、憑依系の歌い方ですよね。

小田:「J-POPバラードをやります」って言ってるなかで、J-POPバラードではない雰囲気なのかなっていうことを考えて、どうやって見せるか考えました。だから恥ずかしくないように歌おうっていうよりは、「もののけ姫」っていうものをいかに表現するかっていうのが結構大事でした。ちゃんと世界観を出す。私の出番の前後の曲も気にしないですし、このツアーのテーマがJ-POPバラードっていうことも気にしないで、とりあえず記憶が飛ぶくらいというか、夢だったのかな?ぐらいに異空間に持っていけたら成功かなって思ってました。

心の中ではしっかり私のまんま緊張感を持って、気をつけるところを気をつけながら冷静に歌ってるんですけど、見た目だけは別人であろうと。普通、そっちの方が無理なんですけど、でも終わってみると「小田ちゃんじゃない顔をしてた」とか「後ろに何かいた?」とか言われたりして。自分も歌い終わった後に、スッて息が吸えるようになるっていうか、肩の力が抜けるんです。だから中身できっちり冷静さを保っていても、それでも何となくいつもの自分とは違う感覚を持ちながら歌っているのかなとは思います。本当に記憶を失うわけではないので(笑)。


Photo by Haruki Horikawa

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