薬物に翻弄されたクラブ界の元カリスマが死亡、自称「わがままなジャンキー」の歩み

2019年4月30日、ニューヨークシティのバー「Drop Off Service」で自身の誕生日を祝う故マイケル・アリグ(Photo by Chance Yeh/Getty Images)

伝説のパーティ・プロモーター、マイケル・アリグが現地時間25日に亡くなった。

米ニューヨーク市にあるアッパーマンハッタンの自宅で、ドラッグの過剰摂取と思しき原因で死亡したという。ニューヨーク・デイリーニュース紙が公式筋からの情報として報じている。享年54歳。

報道によれば、アリグはヘロインを服用してまもなく午前3時ごろに意識を失った、と彼のボーイフレンドが警察に語ったそうだ。救急救命士が現場に駆けつけたときには死亡していたという。

90年代、アリグはピーター・ガティエン氏が経営するナイトクラブ帝国(ライムライト、パラディウム、トンネルなど)のパーティ・プロモーターとして名を馳せ、ヴィレッジヴォイス誌のマイケル・ムスト記者から「若いクラブ仲間のカリスマ的存在」と呼ばれた。1996年、アリグは麻薬密売人のアンドレ・エンジェル・メレンデス殺害に関与したことを認め、17年間服役した。ドラッグ絡みの金の問題は暴力沙汰へ、最終的には凄惨な事件へと発展。「フリーズ」ことロバート・リグスがメレンデスの頭をハンマーで殴りつけたあと、アリグがスウェットを押し付けて窒息死させた。

2人は切断した遺体をバスタブに隠した後(氷とCalvin Kleinの香水エタニティをまき散らしてごまかした)、1週間以上もパーティに明け暮れ――ヘロイン、ケタミン、コカイン、フルニトラゼパムを乱用してぶっ飛びながら――別室でメレンデスの遺体が腐敗しているにも関わらず、友人らをアパートに招き入れていた。腐敗臭に耐えられなくなると、2人は遺体をバラバラにしてハドソン川に投げ捨てた。

この事件は、友人の一人であるジェームズ・セント・ジェームズ氏の回顧録『Disco Bloodbath(原題)』の題材となり、のちにフェントン・ベイリー監督とランディ・バルバート監督のドキュメンタリー『パーティ・モンスター』でも取り上げられた。その後アリグの話にインスパイアされた同名の長編映画が制作され、アリグ役をマコーレー・カルキンが、セス・グリーンがセント・ジェームズ役を演じた。また別のドキュメンタリー『Glory Daze: The Life and Times of Michael Alig(原題)』が現在ストリーミングで配信中だ。

【動画】アリグの波乱に満ちた半生はマコーレー・カルキン主演で映画化もされた

Translated by Akiko Kato

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