新型コロナウイルスによって「ライブ音楽」は死んでしまうのか?

私がいる業界の関係者の多くは、どこの国の政府もパンデミックへの対応策が非常に短絡的で内向的だと見ている。公衆衛生に対する未曾有の脅威であり、問題自体が巨大で複雑であるため、これは至極当然なことなのだが、多くの国々で採用された孤立主義的スタンスのせいで、世界的な視点が無視されてきた。しかし、地球規模のコンセンサスと協力こそがライブ業界の生命線なのだ。

ドメスティックで排他的な考え方、政治的なご都合主義、世界で最も影響力のある国々のリーダーシップの欠如が、目の前にあるチャレンジへの解決策を見つけるために建設的な考え方で異なる意見を一つにまとめようとする人々の意欲を削いでいる気がしてならない。

世界が協力して驚異的な早さで開発されたワクチンは当然讃えられるべきものだが、世界中の至る所で施行されている自国を最優先に考えた一貫性のない渡航禁止令は、国境をまたいだビジネスに頼っている業界に大混乱を引き起こした。

これはライブ音楽に限った問題ではない。世界経済にとって非常に重要な存在であるツーリズム、航空、教育、健康、その他多くの分野が、同じ理由から大きな被害を受けている。

アメリカ合衆国を例にあげると、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大で、感染率と死亡率が世界最悪の数値になっている。さらに、この国は世界でも有数のツアー開催地だ。そんなアメリカだからこそ、手遅れにならないうちに新型コロナウイルスを制御しないと、アメリカ国民の旅行も海外渡航も制限され続けるわけで、少なくともライブ音楽業界にとってこの状況は破滅をもたらす危険性を孕む。

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アメリカ合衆国というのは、一国のリーダーの個人的なアジェンダが国全体を支配し、パンデミックに対する効果的な対応策から国民の目を逸らした好例だ。世界保健機関(WHO)がパンデミックの最中にいかなるガイダンスを提示しようと、件のリーダーは年間を通して意図的にそのガイダンスを著しく害し続けた。現在の私は1月からホワイトハウスの新たな住人となる前任者よりもポジティヴな存在に希望を託している。これによってアメリカ合衆国は世界のリーダーとしての地位を取り戻して、世界共通のコンセンサスを作り上げることだろう。これは、国境を超えて移動することが要のビジネスを再開するために、私たちみんなにとって必要だと考えている。

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