ヒット曲はどのように生まれた? Spotifyと振り返る2020年の音楽シーン

Photo by Helene Pambrun (Harry Stiles), ACMA2020/Getty Images for ACM (Taylor Swift)


ヒゲダンが圧倒、国内ランキングを見る

―続いてジャパンランキング。国内ではヒゲダンがアーティスト、楽曲、アルバムのそれぞれで再生回数1位に。King Gnuやあいみょんと共に、Spotifyが次世代アーティスト発掘プログラム「Early Noise」でずっと推してきたヒゲダンの三冠達成についてはどう受け止めていますか?

芦澤:三冠はSpotifyが日本でサービスを開始してから初めての快挙ですし、三冠を獲るとは予想していなかったので、すごく驚きました。また、「国内で最も再生された楽曲」で1位となった「Pretender」は昨年から非常に聴かれていた曲だったので、今年1位になったのが意外な気がするかもしれませんね。ストリーミングの特徴であるロングテールな聴かれ方がわかる例だと思います。

ヒゲダンはSpotifyで圧倒的に聴かれ続けているアーティストで、トップ50の上位をヒゲダンの複数の楽曲が占めていることも少なくありません。プレイリスト「This Is Official髭男dism」や、アーティストページの最上位の曲から順に聞いているリスナーが多いのではと思います。

あとは、「I LOVE...」が主題歌に起用されたドラマ『恋はつづくよどこまでも』が放送されたのが1~3月で、昨年末から「Pretender」が引き続き聴かれ続ける中で、新たな展開を作れたことも大きかったのではと思います。その後、「Laughter」「HELLO」(7月)などの新曲がリリースされるたびに以前の曲も再び聴かれる、というストリーミングならではの動きが見られています。

―そこから続けて、新作『HELLO EP』をリリースしたタイミング(8月)もよかったんでしょうね。

芦澤:さらにヒゲダンの場合は、過去の曲にも光が当たりました。「国内で最も再生された楽曲」8位の「115万キロのフィルム」は2018年の楽曲ですが、今年は映画『思い、思われ、ふり、ふられ』の主題歌という新しいタイアップが付いたこともあって、この順位に繋がっています。新曲のみならず過去曲も話題になる、そういう楽曲が複数あるアーティストは、「This Is」のようなプレイリストが好んで聴かれるので、それは大きいですね。







―「国内で最も再生されたアーティスト」は、嵐(6位)とMr.Children(12位)を除いて、2000年代以降にデビューしたアーティストが上位20位までを占めています。

芦澤:最近はヨルシカ(11位)、YOASOBI(13位)などネット系出身のアーティストが強く、日本独自のカルチャーを感じます。あとはMrs. GREEN APPLE(5位)もランキング常連で、Spotifyですごく人気なんですよね。彼らは活動休止中なので7月以降新曲はリリースされていませんが、7月にリリースされた新曲入りのベストアルバム『5』と、去年のアルバム『Attitude』が聴かれ続けています。

今年カタログをストリーミングに開放したアーティストでは米津玄師(7位)と、昨年まで一部の楽曲しか配信されていなかったback number(10位)とRADWIMPS(15位)が上位に入っています。米津玄師のカタログ開放は8月でしたから、それで7位という結果は凄いですね。

また、今年は日本でもK-POPが上位に食い込みました。BTS(2位)、TWICE(8位)、BLACKPINK(18位)がそうですね。



―「国内で最も再生された楽曲」では、ヒゲダンの楽曲が50位までに9曲もランクイン。やはり圧倒的です。

芦澤:トップ10のうち半分が彼らですからね。4位のKing Gnu「白日」は昨年からのロングテールヒットで、そこにYOASOBI「夜に駆ける」と瑛人「香水」が上位に食い込んでいます。

―Spotifyで息の長いヒットが生まれているのは、楽曲がスタンダード化する回路としてストリーミングが機能していることの表れでもありますよね。

芦澤:過去にもエド・シーランの「Shape of You」、ミスチル「HANABI」、DAOKO×米津玄師「打上花火」といったロングテールヒットが生まれています。今年はヒゲダンに偏った傾向はありますが、色々なアーティストの楽曲がロングヒット化するようになってきています。

Spotifyのユーザー数が増え、配信される邦楽のカタログが充実してきたことで、国内でサービスを開始した当初よりもランキングの上位に入る楽曲の傾向は変化してきていると思います。ランキングは相対的なものなので、洋楽が以前より聴かれなくなっているというより、邦楽を聴くユーザーの比率が増えたのではないでしょうか。


Text by Ryutaro Amano

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