PassCodeが武道館に立つ意味、サウンドプロデューサーと南菜生が語るグループの軌跡

全部自分たちの手元で回ってる感じだった

―あはは! そういう状態だと、音楽性を変えることに対してもそこまで重く考えずに、面白そうだからやってみようぐらいのノリだったんですか?

平地 どっちかと言えばそうですね。ただ、当時ついてきてくれてた10人以下のお客さんも無理して旧PassCodeの活動を支えてくれてたので、そういう人たちを悲しませる結果になるかもしれないっていうリスクはありました。

南 そこだけでしたね。私は元々バンドサウンドのほうが好きっていうのは平地さんには伝えてたし、曲が変わることに対して抵抗はなかったんです。それよりも、1年間ずっと支えてくれてた人たちのことを裏切ることになっちゃうんかなっていう不安が大きくて。10人以下のファンだったけど、自分たちのことを好いてくれてるお客さんの人数ってあまり関係ないんですよ。だから、そこだけは心配してましたね。

―違う音楽はやってみたいけど、ファンのことは裏切りたくない。そうやって苦渋の決断の末に生まれた曲が「アスタリスク」なんですね。

平地 そうです。懐かしい。



南 でも、「アスタリスク」を作ってるときにはもう、『ALL IS VANITY』(2014年9月にリリースしたインディーズ1stアルバム)の曲もどんどん作ってましたよね。

平地 そうだね。あの頃は最小規模で制作してて、今アルバムを作るとなったら、ドラムから録って、エンジニアさんにミックスしてもらって……っていうことになるんですけど、あの頃は全部自分でやってたんで、えげつないスピードで曲を作ってたんですよね。

南 そうそう(笑)。平地さんは「上手くいかんかったら辞めよう」みたいなことを言ってましたけど、こっちから見てるとやる気満々だったんですよ(笑)。そんだけ用意されたらこっちもやるしかない。

平地 なんか、あれはあれでいい時代でしたよ。

南 全部自分たちの手元で回ってる感じでしたもんね。

平地 僕の作業部屋と同じ建物でメンバーが練習してたんで、練習の合間にメンバーが僕のところに来てレコーディングしてって、本当にフットワーク軽くやってましたね。

―「ここ、ちょっとできたから歌って」みたいな。

平地 本当にそんな感じですわ。

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