PassCodeが武道館に立つ意味、サウンドプロデューサーと南菜生が語るグループの軌跡

アイドルソングを作るセンスが全然なかった

―4人の歌が入ることで新たに感じたことはありましたか?

平地 昔に比べてできることが増えてると思いました。昔は「これを歌えるようにしなきゃ!」って感じでレコーディングに臨んでいたんですけど、今回は歌えることは当たり前で、その上で何ができるか……例えば、高嶋楓ならあのキャラを曲の中にたくさん入れたいし、4人それぞれが自分を出していくことが僕の中でのテーマでした。

―今回、各メンバーの声がこれまでよりも聞き分けやすくなったように感じているんですけど、それは平地さんの意識がそうさせたんでしょうか。

平地 それがいい形で表れたんだと思います。全員で歌うところとひとりで歌うところをより差別化するために今回からやり始めたことがあって、これまでは4人で歌うところはオートチューンをかけっぱなしにしてたんですけど、今回はオートチューンを外して、生の声を重ねてるから4人で歌うときの圧がすごいんですよね。逆に、ひとりになったときはそれぞれのキャラに合ったオートチューンがあるので、そうやって差別化するのを目標にしてました。

南 最近、夢菜(今田夢菜)以外の3人がユニゾンで歌うパートが増えていて、昔のアルバムを聴くとユニゾンが子供っぽく感じる時があったんですけど、今回はメンバーそれぞれの歌もそうですし、平地さんがやり方を変えたこともあるのかもしれないですけど、ユニゾンが聴きやすくなってると思って。あと、普通に歌うと3人とも声質が似てる部分があるので、「このパート、誰が歌ってたんやっけ? あ、3人や」ってことがよくあるよなっていう話をメンバーともよくしてます。

平地 最近の曲だと3人のユニゾンが多いから、その重なった声がもうひとつのPassCodeの声になってきてるところはあるかもしれないですね。

―そもそも、平地さんは作曲を始めた頃からこういう曲を作ってたんですか?

平地 最初は全然違う音楽をやってたんですよ。元々映画音楽の作曲家になりたいと思ってピアノを弾いてた人間なので、ジブリ音楽の久石譲さんから入ってるんです。

―そこからどうやってこの音楽にたどり着くんですか?

平地 歌が入った曲に興味を持ち始めるきっかけになったのが作曲の専門学校に入ったタイミングで好きになったAKB48さんで、「こういう曲を作れるようになったら仕事になるのかな。自分でもアイドルを作りたいな」と思ったんです。そこからすぐに南と出会って作ったのが旧PassCodeと言われるもので、そのときはAKBさんみたいな曲を作ってました。

南 AKBだけじゃなかったですよね。SUPER☆GiRLSっぽい曲もあったり。

平地 でも、そういうアイドルソングを作るセンスが全然なくて(笑)。

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