PassCodeがメジャー3作目となるフルアルバム『STRIVE』を発表した。彼女たちの特徴であるヘヴィなサウンドに、今回は良質のメロディも注がれ、3作目にしてついに名刺代わりとなる傑作に仕上がった。
PassCodeのサウンドをメンバーとの二人三脚で支えるのはサウンドプロデューサー平地孝次。これまで積極的に表舞台へ出てくることのなかった彼が、今回ついに登場。この機会に、メンバー南菜生も交えてPassCodeサウンドについてじっくり掘り下げようとしたが、話は思わぬ方向へと展開。結果的に、平地とメンバーの精神的な結びつきを理解することでPassCodeという稀有なグループの正体が見えてくるのだった。
―まず、最新アルバム『STRIVE』について聞かせていただきたいんですが、平地さんはどういう意識で今作の曲作りを始めたんでしょうか。
平地孝次 今年5月にシングル「STARRY SKY」を出した段階で、次の作品がフルアルバムになることは決まっていて、「ATLAS」(2019年9月リリースのシングル)などの既存のシングルやそのカップリング曲が収録されることもほぼ決まっていました。今回に限った話ではなく、アルバムの場合は最終的にどういうバランスになるのかというのが一番大事なので、4曲目は「ATLAS」、みたいにある程度曲順を決めておいて、「じゃあ、この曲とこの曲の間にはこういう曲があったほうがいいかな」みたいな感覚で曲を作っています。穴埋め系の作り方ですね。
―ということは、今作の全体像も最初からあったわけですね。
平地 ある程度は。例えば、1曲目は「SPARK IGNITION」みたいなミドルアップテンポのPassCodeらしい曲で、2曲目は変な曲、みたいな。なので、最初にすべての曲に仮タイトルを付けていくところから始めるんです。
―仮タイトルを付けていく?
平地 はい。「なんとなくこんな曲」っていう。ちなみに、2曲目の「Majestic」は「変態」という仮タイトルでした(笑)。
―(笑)。平地さんはサウンドプロデューサーという立場ですけど、ある意味では言葉も大事にしているということですよね。
平地 そうですね。曲を作り始める前の仮タイトル「変態」があって、そこから曲を作り始めて、まだ歌詞がついていないデモを提出する段階ではもうちょっとまともな仮タイトルを付けて、そこから作詞をしてもらって、歌が入って、正式タイトルが決まるという流れです。
―じゃあ、歌詞は平地さんが付けた仮タイトルを元に作られていくということですか。
平地 ああ、それも影響してるみたいですね。