1970年代の浜田省吾との出会い 水谷公生とともに振り返る



田家:1980年10月に発売になった6枚目のアルバム『Home Bound』から「傷心」。これを選ばれたのは?

水谷:これは海外レコーディングということで、ミキサーもロサンゼルスの人でした。これはちょっとプロっぽいことですが、バックの音がすごく大きいんですよ。でも歌もちゃんと聞こえる。これはエンジニアリングの周波数をすごく整理しないとできないんですよ。それがすごくできてるし、歌ばっかり聞こえると薄っぺらになってくることもあるんですよ。それが40年前からしっかりできている。それもあるし、やっぱり僕は彼のマイナーな曲が好きで、これはまさに浜田省吾節。それとトミー・モーガンという人がハーモニカを吹いているんですけど、そのソロが圧倒的にすごいんですよ。音楽の気持ちよさと曲の切なさと彼の声、僕はこの曲が素晴らしい曲だと思うし、僕が札幌に行った時にこの曲がたくさん流れていたんですよね。「何でこんなにかけてるの?」って訊いたら、当時札幌の有線で一位だったんですって。今は特にこういう時代なので、心や情がすごく大事なので選ばせてもらったというのもあるんですけど、心がキュンとするしロマンチックだなと思いますね。

田家:『Home Bound』の中には、「終りなき疾走」とかメッセージ性の強いロックもあったわけですが、ロマンチックでセンチメンタルなバラードというのがないと、そういう曲も活きないですね。このアルバムから、水谷さんはもう一曲選んでます。

Rolling Stone Japan 編集部

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