マイリー・サイラス激白「生死を分ける27歳」で気づいた本当の自分

マイリー・サイラス、2020年11月撮影(Photo by Brad Elterman for Rolling Stone, Production direction by Richie Davis. Produced by Rachael Lieberman. Wardrobe styling by Blaine Halvorson. Styling by Bradley Kenneth. Hair by Cervando Maldonado at the Wall Group. Makeup by J

波乱に満ちた数年間を経て、ワイルドなニューアルバム『プラスティック・ハーツ』を完成させたマイリー・サイラス。新たな展望、語り尽くせぬヒーローたちへの思い、禁酒生活、アーティストとしての正当な評価の渇望まで、そのヴィジョンと野望について彼女が語った。

ロサンゼルスのサンフェルナンド・バレーに太陽が沈み始めた頃、マイリー・サイラスは「ハーモニーの微調整に没頭中」だった。彼女はプロデューサーのアンドリュー・ワットと共に、午後からずっと自宅スタジオにこもっている。彼女のニューアルバム『プラスティック・ハーツ』は随分前に完成していたが、発売を控えているコンピレーションに収録されるメタリカの1992年作「ナッシング・エルス・マターズ」のカバー等、2人は今なお様々なプロジェクトを進めている。ここ1時間ほど、彼女はコーラスパートの録音に臨んでいる。かつてウェイロン・ジェニングスは、彼女の父親であるビリー・レイ・サイラスが当時3歳だったマイリーにタバコを吸わせているのを見て呆れたというが、彼女のドスの効いた歌声はその賜物なのかもしれない。

「わたしの声、ここまで聴こえてる?」。その歌声がゼブラ柄の吸音板をものともせず、古いプレイボーイ誌を飾った階段を挟んだリビングにまで響いていることに、彼女自身も驚いているようだった。一見アットホームなその空間には、ネオンカラーのサイケデリックな絵や、デヴィッド・ボウイとピンク・フロイドのハードカバー本の隣にあるカラフルな彫刻物など、あちこちに極彩色の「クレイジーなガラクタ」が見られる。彼女は2019年9月に、カーダシアン一家やドレイク、ジェシカ・シンプソン等が住むヒドゥン・ヒルズの一角にあるこの家に引っ越してきた。彼女は当初、その閉ざされた上流階級のコミュニティが「ノームコアっぽい」と感じていたという。ダーティブロンドのマレットヘア、コンバットブーツ、CBGBプリントのベストという服装の彼女は、ニューヨークのイーストビレッジのTrash & Vaudevilleでパンクスたちに紛れている方が自然だろう。

過去数カ月の間に、彼女はその歌声で多くのリスナーを魅了した。8月にスティーヴィー・ニックスをサンプリングしたゴージャスな80’sポップ「ミッドナイト・スカイ」を発表すると、彼女はヴォーカリストとしての圧倒的な実力を見せつけるカバー曲を立て続けに公開した。配信ライブでお披露目されたブロンディの「ハート・オブ・グラス」と、クランベリーズの「ゾンビ」はネット上で大きな話題となり、『プラスティック・ハーツ』のリリースが発表された頃には、ファンは彼女のロックアルバムを渇望していた。だが彼女のヴィジョンは、彼らが予想した以上に壮大だった。







ジョーン・ジェット、スティーヴィー・ニックス、デュア・リパ、ビリー・アイドル、マーク・ロンソン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンス等の豪華ゲストを迎えた『プラスティック・ハーツ』は、シンセやパワーバラードに象徴される80年代の放蕩なシーンへの熱烈なラブコールだ。そのエキサイティングなコンセプトは、決して気まぐれや思いつきではない。「わたしの初めてのコンサート体験はポイズンとウォレントだった」。そう話すサイラスは、ステージをもっとよく見ようとして折りたたみ椅子の上に立とうとし、危うく足の骨を折るところだったという。ティーンポップのイメージを脱ぎ捨てた彼女が、1人のアーティストとして発表した最初のアルバムとなった2010年作『キャント・ビー・テイムド』には、ポイズンの大ヒットバラード「エヴリ・ローズ・ハズ・イッツ・ソーン」のカバーが収録されていた。



Translated by Masaaki Yoshida

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