イギー・ポップとエルヴィス・コステロが語る、波乱万丈の70年代と「失敗を恐れぬ心」

過ぎ去りし70年代の記憶(1)

コステロ:長い年月が経っても、僕は「パンク出身だ」と言われる。

イギー:パンクではない。そういう時代だったのさ。

コステロ:ザ・ピストルズは自分たちをピストルズと呼んだ。素晴らしい名前だからだ。名も無いグループよりも名前があった方がいい。ザ・クラッシュはクラッシュだ。僕はこの奇妙なステージネームの恩恵を受けることもあれば、重荷になったこともある。でも名前の裏には個人が存在する。ただ、その人の部分を大切にしなければならない。

ロックンロールに関して、ティーバッグの使い回しの話はその通りだ。エルヴィス・プレスリーの最初のレコードには、ドラムが使われていない。ジェリー・リー・ルイスの場合はベースが無かった。それでも、その状況の中で自分たちのできる全てを注ぎ込んでいる。ジョニー・キャッシュの最初のレコードにもドラムが無く、ギターでリズムを刻んでいる。ドラムが必要だったかと言えば、答えはノーだ。これはロックでは無いかと言えば、それもノーだ。

イギー:だんだん必要なものが増えていくんだな。大きなドラムセットが必要になり、次はシャウトできる人間、と次々に欲しくなる。ウォー、ベイビー!(叫び声)

コステロ:(嫌味っぽい口調で)誰のことを言っているのか分からないよ! 誰のことだい?

イギー:(バンドの)シンデレラみたいなフォロワーを生んだ、あるグループのことさ。

コステロ:衝撃的だ。ロバート・プラントと初めて会ったのは、1980年のチャリティーコンサートだった。僕の方から彼に近づいて行ったが、僕は酒とドラッグで酷い状態だった。彼は僕が挨拶しに来たと思っただろうが、僕は思いっきり馬鹿にした感じで「天国への階段」と言ったんだ。あの頃は、世代毎にくだらない対抗意識があった。僕は彼と4つか5つしか変わらないんだけど。それでも歳上の彼がやっているのは年寄りの音楽だ、などと考えていたからね。

イギー:ロックンロールの世界では、5年と言えばひと昔前さ。

Translated by Smokva Tokyo

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