ポール・マッカートニー×テイラー・スウィフト対談「誰かをそっと支えるような曲を書きたい」

テイラー・スウィフトとポール・マッカートニー(Photo by Mary McCartney for Rolling Stone)


自分らしい人生を生きるために

テイラー:あなたの新作の歌詞についても、インスピレーションについて訊いてみたかったんです。私自身は『フォークロア』で、現実逃避とロマンチシズムをテーマにしました。自分が禁断の愛のパイオニアだったら、なんて想像しながら曲を書いてみたり(笑)。私はすっかり……。

ポール:“あなたに子供を与えたい”っていう歌詞、あれはその曲かい?

テイラー:あれは「ピース」っていう曲です。

ポール:「ピース」か、すごくいいよね。



テイラー:「ピース」は私自身の経験に基づいた曲なんです。あなたは有名人としての暮らしと私生活のバランスをすごく上手に保っていますが、私は誰かと出会って恋に落ちるということが怖くもあるんです。相手が地に足のついた暮らしを送っている人だと特にそう。私は不安に駆られながらも、常識を持った人間として理性的に行動するように努めています。でも、物陰に隠れていた20人くらいのカメラマンが私たちの車を尾行したり、プライバシーを侵害しようとすることを止めることはできないし、事実じゃない事柄が明日の新聞の見出しを飾ることを阻止することもできない。

ポール:それで、パートナーとの関係はうまくいってるの? 相手はそういったことを理解してくれてる?

テイラー:ええ、すごく。

ポール:そういう相手じゃなきゃ務まらないもんね。

テイラー:彼と付き合うようになってから、私はタブロイド紙で語られるようなものではない、自分の本当の人生を生きられるようになったって感じているんです。それは住むところや交流する人の選択、時には写真撮影を断ること、そういう部分にも現れていると思う。プライバシーの概念について説明するのって難しいけれど、単に正常な状態を保つことだと私は思っていて。「ピース」はそういうことを歌った曲なんです。「私たちのどちらもが切実に欲している正常さを手に入れることができなくても、納得しないといけないの?」っていうような。ステラは注目される立場にあったけれど、不思議なくらい平穏な幼少期を過ごすことができたってよく話しているんです。

ポール:そうだね、家族みんなが地に足のついた生活を送れるよう努力してきたつもりだよ。

テイラー:彼女は普通の公立校に通っていたそうですね。

ポール:そうだよ。

テイラー:あなたはマスクを被って、子供たちと一緒に「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!」って言ってたとか。

ポール:全員とね。正しい選択だったと思ってるよ。子供の頃にプライベートスクールに通っていた人たちは、少し世間離れしていたりするからね。そうはなって欲しくなかったんだ。彼女たちがやがて母親になる可能性を考えると、尚更そうだった。昔、メアリーにはオーランドっていう友人がいてね。ブルームじゃないよ。自分自身がそういう経験をしていた彼女は、彼にいろんなことを相談していたんだ。言うまでもなく、子供たちは学校で他の生徒たちからからかわれてた。誰かが彼女たちの前で、「ナーナナナ」なんて僕らの曲を歌ったりしてね。彼女たちはそういうのに、自分なりに対処しなくちゃいけなかった。

テイラー:自分のせいで子供たちが辛い思いをするかもしれないということを不安に思ったり、プレッシャーを感じたことはありましたか? そのことに悩んだりしましたか?

ポール:うん、少しはね。でも、当時は今とは状況が少し違ったからね。僕らは喧騒から離れたところで、半ヒッピーみたいな暮らしをしていたんだ。子供たちはごく普通の経験をしていたし、学校の友達を我が家に招いてパーティーを開いたりもした。ステラの誕生日に、彼女がクラスメイトをたくさん連れてきた時のことはよく覚えてるよ。子供たちはみんな、僕のことなんか気にかけもしなかった。最初こそ「あの人有名らしいよ」なんて言ってたけど、すぐに興味をなくしてたからね。ありがたかったよ。他の部屋を覗くと音楽が流れていて、ルークっていう名前の男の子がブレイクダンスをやってた。

テイラー:ワオ!

ポール:彼のダンスは見事だったから、子供たちが皆そこに集まってた。そんな感じだったから、ステラたちも浮いたりせずに済んだんだ。それに、僕は贅沢な暮らしをしているわけじゃないからね。本当に。誰かが家を訪ねてくると、少し恥ずかしく思うこともあるくらいだよ。

テイラー:そういうことも気にするんですか?

ポール:豪華な屋敷に住んでる人が来るときなんかはね。クインシー・ジョーンズが来てるってのに、僕はベジタリアンバーガーなんかを出してるみたいなさ。自分で調理したやつをだよ。リンダを亡くした後で、再婚する前の話なんだけどね。彼みたいな人を招くと、こんな風に思ってしまうんだよ。「クインシーはきっとこう思ってるんだろうな。『彼はどういうつもりなんだろう? 家は小さいし、贅沢品なんかまるで見当たらない。しかもキッチンで食事するなんて! なんでダイニングルームがないんだろう』」みたいなね。

テイラー:その会は楽しそうですけどね。

ポール:僕はそういう人間なんだ。不器用だし、派手な暮らしは性に合わない。田舎に大きな屋敷を買って、豪華な調度品を揃えるとか、そういうことに興味がないんだ。それよりも動きやすい服装のまま散歩に出かけたり、気が向いたら裸で過ごすこともできるような環境の方がいいんだ。

テイラー:『ダウントン・アビー』のような環境じゃそうはいかないですもんね。

ポール:(笑いながら)その通り。

Translated by Masaaki Yoshida

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