ポール・マッカートニー×テイラー・スウィフト対談「誰かをそっと支えるような曲を書きたい」

テイラー・スウィフトとポール・マッカートニー(Photo by Mary McCartney for Rolling Stone)


すべてのパートを自分で演奏する意味

テイラー:気づいたことがあるんです。『マッカートニーⅠ』と『マッカートニーⅡ』、そして『マッカートニーIII』も、全部ゼロで終わる年に発表されていますね。

ポール:ディケイドの終焉の年にね。

テイラー:それには重要な意味があるんですか?

ポール:今回のアルバムが2020年に生まれたことは、特に意識していたわけじゃなかったんだ。2020年っていう年には、きっと誰もが大きな期待を寄せていたと思う。「素晴らしい1年になるに違いない! だって2020だよ? いかにも何かが起きそうじゃないか!」っていうさ。そんな中でコロナウイルスが大流行したわけだから、何かが起きるっていう予感は的中したわけだよ。悪い方にだけどね。「ポール、君はビートルズが解散した1970年に『マッカートニーⅠ』を、1980年に『マッカートニーⅡ』を出した」ってある人から言われた時に、僕はこう返したんだ。「2020年には『マッカートニーIII』が出るよ。やっぱり数秘術だ、って言われるかもね」


『マッカートニーⅠ』収録曲「恋することのもどかしさ」(Maybe I’m Amazed)

テイラー:数秘術ってどこか象徴的ですよね。私は数字に神秘的なものを感じていて、自分の運命を決定づけているように思うんです。13と89は私にとって大きな意味を持っていて。他にもいくつか……。

ポール:13がラッキーナンバーだっていう人は多いよね。

テイラー:私にとってもそうです。私は(12月)13日生まれなので。まったくの偶然なんですけど、自分にとってすごくいいことが13日に起きることが多くて。どこかの標識でその数字を目にすると、それが自分の進むべき方向だって思うんです。たとえ今は辛くても、状況は良くなりつつあるって。うまく言えないけれど、私は数秘術に惹かれるんです。

ポール:不気味だよね、ぞっとするくらいにさ。そう言えば、89っていう数字はどこから来てるんだい?

テイラー:私は1989年生まれなんです。だからいろんな場所でその数字を見かけると、つい運命めいたものを感じて。

ポール:それはいいことだと思うな。自分にとって意味のあるものがあって、それを目にするたびに幸運の訪れを予感する。前向きですごくいいと思う。

テイラー:私の大好きなボン・イヴェールは、22っていう数字にこだわりを持っていて。それはそうと、ずっと聞いてみたかったことがあって。あなたはビートルズやウィングス、それに『エジプト・ステーション』もそうですが、これまでずっとバンドの一部だったり、周囲のミュージシャンたちとの繋がりを大事にしていたと思います。でも今回は自分1人で作品を仕上げたわけですが、スムーズに進みましたか?

ポール:以前にも経験してたからね。『マッカートニーⅠ』の時なんかは、ビートルズがもう存在しなかったから、ドラムキットやギターアンプを全部自宅に持ち込んで、自分1人でやるしかなかったんだ。だから最初からレベルの高いものを目指してはいなかったし、実際そうじゃないと思う。でも、あのレコードのカジュアルな感じが好きだって言ってくれた人は少なくなかった。深く考える必要がなかったからだろうね。すべてのパートを自分で演奏するっていうのをその時にやったわけだけど、その後自宅のスタジオにシンセサイザーやシーケンサーを導入して、あれこれと実験しながら作ったのが『マッカートニーⅡ』だった。そういうのが得意な人はいるもので、僕もそうなんだ。スティーヴィー・ワンダーやスティーヴ・ウィンウッドなんかもそうだね。そういう考え方ができるタイプっていうか。


『マッカートニーⅡ』収録曲「ウォーターフォールズ」

ポール:誰かと一緒に仕事をする場合は、相手のパフォーマンスに結果が少なからず左右される。でも自分1人でやる場合は、パフォーマンスのムラ具合だってある程度予想がつく。僕は次第にその面白さを理解できるようになったけど、一旦慣れてしまうと歯止めが効かなくなるところもあってね。僕はそういうやり方で作ったレコードを、ファイアーマンっていう名義で出してもいるんだ。

テイラー:いい名前ですね。

ポール:趣味みたいなものだね。

Translated by Masaaki Yoshida

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