ポール・マッカートニー×テイラー・スウィフト対談「誰かをそっと支えるような曲を書きたい」

テイラー・スウィフトとポール・マッカートニー(Photo by Mary McCartney for Rolling Stone)

米ローリングストーン誌による特集企画「MUSICIANS ON MUSICIANS」で、話題の新作『マッカートニーIII』を本日12月18日にリリースしたポール・マッカートニーと、2020年を象徴するアルバムとなった『フォークロア』(米ローリングストーン誌が2020年の年間ベストアルバム1位に選出)と、その続編となる『エヴァーモア』を発表したテイラー・スウィフトの超豪華対談が実現。ソングライティングの秘訣、自宅でのアルバム制作、パンデミックを通じて学んだことなどを語り合った。

10月のある日、テイラー・スウィフトは予定時間よりもやや早く、ロンドンにあるポール・マッカートニーのオフィスを訪れた。「はやる気持ちを抑えつつ、マスクを着けた」後日彼女から送られてきたメールにはそう綴られていた。「最近はずっと家で仕事してたから、私は今日という日を楽しみにしていた。億劫じゃない遠足を待ちわびる子供みたいに」

1人でやってきた彼女は、髪のセットもメイクも自身でこなした。世界で最も有名なポップソングライターであるスウィフトとマッカートニーの2人は今年、異なる場所で似た動きを見せていた。マッカートニーはイギリスにある自宅で隔離生活を送りながら、ニューアルバム『マッカートニーIII』を完成させた。1970年に発表した初のソロアルバム『マッカートニー』と同様に、ほぼすべての楽器を自身で演奏したという本作には、彼のキャリア史上屈指の冒険心に満ちた楽曲が数多く収録されている。そしてスウィフトもまた、このタイミングで新境地を切り拓いた。ザ・ナショナルのアーロン・デスナーとの遠隔コラボレーションで完成させた『フォークロア』で、彼女はアリーナ級のポップを完全に放棄し、リッチなキャラクターに満ちた楽曲の数々を生み出した。同作は今年最大のセールスを記録したレコードとなっている。

対談の準備をしながら、スウィフトは『マッカートニーIII』を、マッカートニーは『フォークロア』を聴いていた。写真撮影の前に、スウィフトは彼の娘であるメアリー(今日の撮影を担当)とステラ(スウィフトが着用した衣装をデザイン、2人は親しい友人どうしでもある)と言葉を交わしていた。「ポールとはそれまでにも何度か会ってたの。大抵はパーティー会場でのステージ上なんだけど、それについては後で話すわ」彼女からのメールにはそうあった。「少ししてから、彼は奥さんのナンシーと一緒に姿を見せた。2人からはポジティブなオーラが出ていて、今日がいい日になるって確信したわ。写真撮影の間中、ポールはすごくリラックスしていて、スピーカーから流れるモータウンの曲に合わせて歌ったりしてた。何度かメアリーから『ちょっとお父さん! じっとしてってば!』なんて叱られてたわ。すごく素敵な一家だなって思った。彼のオフィスで対談を始める直前に、私は恐る恐るある頼み事をしたの。私の好きな彼の歌詞を書いてもらって、それにサインしてもらうっていうのだったんだけど、彼は快諾してくれた。どうせ転売するんだろっていう彼のジョークに声をあげて笑ったことは、きっと一生の思い出になると思う。それから私たちは、お互いの音楽について話し始めたの」

Translated by Masaaki Yoshida

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