スマパンのビリー・コーガンが語る不変の音楽愛、父になって訪れた変化、日本への想い

日本のファンに伝えたいこと

−昨年には、ソロ名義のアルバム『Cotillions』をリリースしていますが、現在ではソロ作品は、スマッシング・パンプキンズとしての作品に対して、どのような位置づけなのでしょう?

ビリー:僕は音楽をやっているけど、商業的な面に関心はない。ただ、作りたい音楽を作っているだけだ。それは、僕をより良いポップ・メーカーにしてくれる(笑)。実は僕は、そのプロセスの方を楽しんでいるんだ。妥協している気がしないからだよ。わかるかな。僕には両方できるんだ。ポップ・アルバムを作るのもすごく得意だし、楽しめる。アーティスティックなアルバムを作っていると、逆にポップ・ミュージックを楽しめるんだ。



−最近、残念ながら亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンについて、かつてインタビューした時の思い出を語っていましたが、彼のギター・プレイや楽曲から具体的にどういう影響を受けたのか教えてください。

ビリー:エディは、僕が11歳か12歳の頃に出てきて、僕がいた地域では突然みんなヴァン・ヘイレンを聴きだしたんだ。1978年から1984年に解散するまで、彼らは支配力を持つバンドだったけど、その頃まだ僕は学校に通っていた。みんな彼のことが大好きだったし、彼らのTシャツを着ていた。その後、1982年頃にギタリストになった僕は、ギターを学ぼうとあの素晴らしいミュージシャンを観て、彼がどうやってああいうことをやっているのか突きとめようとしたよ。今はYouTubeを観れば分析してくれる人がいくらでもいるけど、1982年にはラジカセとギターしかなくて、そこにクレイジーな速弾きをする男がいたんだから、みんなにとって彼はまるで神のようだったよ。そうやって彼は、ギターに対する僕の考え方に影響を与えたんだ。練習の仕方とか、より良いミュージシャンになるためのことを学んだんだよ。その後、彼に会うことができて、インタビューもした。ファンである僕にとっては、かなりすごいことだったね。あんなに彼の音楽を聴いていた僕が、彼のことをちょっとは知るようになったんだから。

−先日、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイにインタビューを受けていましたね。感想を教えてください。

ビリー:ジェラルドとは長いつきあいになるよ。共通の友達がいるし、いっしょにライブをしたこともある。彼のことが大好きだし、すごく才能がある男だ。ある雑誌が彼に僕をインタビューしてもらいたくて実現したんだけど、とても良かった。アートについて素晴らしい会話を交わすことができたよ。1997年に彼と弟がスマッシング・パンプキンズを観にマディソン・スクエアに行ったことを話してくれた。その時バンドをやろうって決めたんだって。僕たちが彼らの成功に何らかの影響を与えられたのは、とっても光栄なことだ。彼らのことは人としても尊敬しているんで、嬉しいね。誰かにインスピレーションを与えるだけじゃなく、その人達といい関係になれるなんて誇れることじゃないか。



−さて、状況が落ち着いたら、また日本へ来てくれるでしょうか? 前回の来日時にあなたが気分を害したという話が広まっていて、まだ日本にもたくさんいるスマパンのファンは気を揉んでいたりします。

ビリー:僕たちとしては、あのフェスの出演順がすごく悪かったと思っている。未来あるバンドを、午後5時に駐車場にいさせはしないはずだ。残念ながら、あれ以来日本には行けてないけど、僕たちは本当に行きたいんだ。素晴らしいファンが日本には大勢いるからね。しかるべき状況になればいいと思ってる。ジェームス・イハが戻ってきてから、僕たちはオーストラリアに行っていないし、ニュージーランド、東南アジア、日本、香港にも行っていない。すごく不思議だよ。ジェームスが戻って来たんだから、また東京みたいなところでプレイするのにはうってつけのチャンスなのにさ。だから、とっても残念だ。でもね、1ついいことを教えてあげる。僕たちは過去のライブ音源をたくさん持っているんで、来年はアーカイヴ・ライブをリリースしようと思ってるんだけど、その最初のリリースは、1992年に名古屋でプレイした時の演奏なんだよ。

−おお。それは素晴らしいですね。

ビリー:ああ、かなりクールだよ。『Gish』ツアーの音源なんだ。

−今日はどうもありがとうございました。

ビリー:ありがとう。素晴らしい1日を!




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Translated by Mariko Kawahara

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