全米のセックスワーカーを敵に回した18歳女性の「嘘」

同級生たちの証言「彼女はガンにかかっていると嘘をついた」

セックスワーカーはImperialの動画の発言にもフラグを立てている。例えばある動画の中で、ImperialはプライベートパーティのVIPルームになるセンターステージに立ったと口にしている。彼女と同じ高校に通っていたというセックスワーカーの通称ルナさんいわく、クラブのVIPルームに普通ステージはないそうだ。また通常プライベートパーティはホテルの客室や個人宅で行われるので、プライベートパーティにステージがあるなんて聞いたことがない、とも言った。

だが最大のNGポイントは、Imperialがダンサーとしてキャリアをスタートした時期だ。ImperialはTikTokで、17歳の時にストリッパーを始めたと言っている。だが多くの州では、認可を受けたストリップクラブで働ける合法的な年齢は18歳から、と定められている(クラブではアルコールが提供されるので、普通は21歳から)。大半の雇用主は、とにかく法的責任を問われないために、ダンサーが成人であることを証明する政府発行の身分証明書など大量の書類をそろえる必要がある。未成年の彼女が個人企業に雇われていた可能性もなきにしもあらずだが、ローリングストーン誌が取材したダンサーによれば、それもあり得ないそうだ。

Imperialの中学時代の同級生グレイス・ザオさんは、以前別のInstagramのアカウントで(現在は削除されている)Imperialをフォローしていた。4月30日、まだ高校3年生だったImperialは「高校卒業後の夢は、ストリッパーになること」というストーリーをInstagramに投稿した。ImperialがTikTokで、エキゾチックダンサーの仕事について語り始めたのと同じ月だ。「つじつまが合わないでしょう」と言ってザオさんは、問題の投稿のスクリーンショットと、彼女との関係を裏付ける中学の卒業写真をローリングストーン誌に提供してくれた。

おそらくもっと重要な点は、ローリングストーン誌が取材した5人の元同級生によれば、彼女は過去に突拍子もない、あるいは根も葉もない話をでっちあげていたことだ。元同級生の1人ダニエラさん(プライバシー保護のため仮名)は、商業高校でImperialの1年先輩だった。Imperialはそこで美容師の勉強をしていたという(ダニエラさんの姉も彼女の話を裏付けた。2人はImperialとの関係を証明する写真も提供してくれた)。ダニエラさんの記憶では2018年、高校2年生だったImperialは、ステージ5のガンにかかっていると学校中に言って回っていたという。「彼女は『もう子供は産めない、タトゥーも入れられない』と言っていました」とダニエラさん。「そのあと写真を見たら、(腕に)大きなタトゥーが入っていました。訳が分かりませんよ、なぜあんな嘘をつくのか」

現在19歳のルナさんの話では、高校に上がったばかりのころImperialから肺ガンにかかったと聞かされたそうだ。最初ルナさんと友人たちはこの話を信じた。「彼女がそんな嘘をつく人だとは思わなかったんです」とルナさん。それから数カ月後、Imperialは友人たちにガンが進行したと語ったが、ルナさんは怪しいと思った。「私の祖母はガンで亡くなりましたが、彼女にはそういう兆候はひとつも見られませんでした。化学療法や放射線療法を受けたような形跡も見られませんでした。学校も休まず通っていました」とルナさん。彼女は自分のTikTokでこの疑惑に触れている。「本当に何の兆候もなかったんです」(ガンの一件が原因で、ルナさんとImperialは高校1年生の時に仲たがいした。「なぜ友だちをやめちゃうの、と彼女が尋ねたので、ああいうことで嘘をつくような人は嫌いだからよ、と答えました」とルナさん)

Translated by Akiko Kato

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