全米のセックスワーカーを敵に回した18歳女性の「嘘」

セックスワーカーたちは「無責任だ」と激怒

自称この道11年のダンサー、ジェシカ・カインドさんいわく、暴力的あるいは好色な顧客連中を相手にするセックスワーカーとして面白おかしく語るImperialの話は、すでに社会的烙印を押されたコミュニティに実害を与えている。「彼女は、私が属するコミュニティへの暴力をネタにしてこれだけ多くのフォロワーを集めていたんですよ」と彼女は言う。

カインドさんはstrippayogaというハンドルネームで、「ストリッパーを格下げするような話をネタにして、にわか人気を得た」と、Imperialを非難する投稿をTikTokにあげた。この動画は大勢のImperialのフォロワーから相当叩かれ、Imperialがたくさんフォローされているのをやっかんでいるんだ、と責められたが、100万回近く閲覧された。「こういう話をそのままにしておけば、ダンサーはこういう仕打ちを受けるのが当たり前だと思われてしまう。そもそも、なんでこんな仕事を選ばきゃならないのか、と」とカインドさんはローリングストーン誌に語った。「普通のクラブではこんなことは起きないと知ってもらうことが大事なんです」

ローリングストーン誌のコメント取材依頼にImperialからの返答はなかった。だが激しい批判をうけて、彼女はTikTokにいくつか動画を投稿し、自分はどの話でも誇張や捏造はしていないと言った。「ちょっと演出を加えて、実際よりもドラマチックな状況にした部分はある。でもよくよく考えれば、話自体はそこまでドラマチックじゃないでしょ」と言って、彼女はさらにこう付け加えた。「こういう動画を作っているのは、みんなに感じてもらいたいから――みんなに実際の様子を知ってもらいたいからなの」

カインドさんいわく、もっともいただけないのは、ImperialがTikTokの中で警備員や用心棒の存在に触れていない点だ(唯一例外として、銃を向けられたときに警備員が割って入ったと語っている動画はある)。「クラブの大半は2つのことを最優先しています。ひとつはストリッパーに稼がせること、もうひとつはストリッパーに稼いでもらうために女の子の身の安全を確保することです」とカインドさん。「個人宅で開かれるプライベートパーティでさえ、それほど警備は厳しくないにしても、用心棒を置いたり安全対策を施したりしています。どこの馬の骨ともわからない連中が現れて、女の子をケガさせないようにね」。用心棒や警備員がいれば、糞を投げつけられたとか香水をプンプンさせた嫉妬深い妻に襲われたとか、Imperialが動画の中で語っている事件の多くは理論上防げたはずだ。

Imperialは動画の中で、自分はクラブに所属せず、プライベートパーティで稼いでいると繰り返し言っている。またOnlyFansにもアカウントを持っていて、毎月15ドルで規制対象のヌード画像を主に販売している。ローリングストーン誌が取材したダンサーの大半が、プライベートパーティを専門にするダンサーは全くいないとは言わないが、極めてまれだと語った。プライベートパーティはほとんどの場合、クラブでのコネを通じてオファーされるものだからだ。ImperialのWEBサイトは、顧客になりそうなユーザーが仕事を依頼できない仕様になっている。18万1000人を集めているInstagramにも、ダンサー業界の常で、今後の出演予定を宣伝する投稿はない。またパッと見たところ、業界の常識にならって彼女は地元のクラブをフォローしていないし、クラブのほうも彼女をフォローしていない。「パンデミックのさなか、彼女が一体全体どうやって自分を売り込んで、プライベートパーティで稼いでいるのか分かりません」。ミネソタで活動するダンサー、ビービー・ガンさんはこう語る。「もし実際にやっているとすれば、無責任でもあります」

Translated by Akiko Kato

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