RADWIMPSが鮮やかに体現「2020年のアリーナライブでできること」

RADWIMPS「15th Anniversary Special Concert」(Photo by Takeshi Yao)

RADWIMPSがメジャーデビュー15周年を記念して開催した「15th Anniversary Special Concert」。11月22日・23日に開催された横浜アリーナ公演。現場に密着した公式ライターの三宅正一が見た、RADWIMPSの新たな世界とは?

RADWIMPSにとって、その音楽で表現しようとしているものの原点と核心、そして新たな可能性を得たライブだった思う。インディーズ時代から野田による独立した哲学性を貫くソングライティングと、衝動というものが瑞々しく表出したダイナミックなバンドサウンドはあきらかに特別な求心力を放っていた。

それは、たとえば野田が描く至極個人的なラブソングをバンドで鳴してみると、世界の真理が浮き彫りになるような、そんな音楽像を最初からまとっていた。ロックのみならず、ヒップホップ、ファンク、ジャズなど野田洋次郎の音楽的なアンテナは全方位に張り巡らされ、また現在のRADWIMPSの楽曲やライブにおいて“合唱”がもたらしているものはどんどん大きくなっている。それはヒップホップをはじめ海外で一つの潮流となっている“ゴスペル”の要素に近いものも感じる。

昨年、野田洋次郎にインタビューした際にも「最近の曲作りおいても合唱の力みたいなものはすごく信じているし、今後もより明確に形にしていきたいと思ってます。ライブでもRADWIMPSのお客さんの声はすさまじいって感じるんですよね」と彼は言っていた。さらには「間違いなくこれからも残っていくのは人の声であって、つまり、生音が人の声とどんどんイコールになる。だからこそ、生の声にどんどんフォーカスを当てているし、それが集まったときのパワーを信じているんです。そのパワーには俺がたった一人でどれだけがんばって歌おうが勝てない。でも、ゴスペルや合唱ってそもそもあるものだから。日本でも校歌があって、自分のチームを応援するときにもつねに歌が先頭をきってきたわけで。そこに今一度回帰しているのかなと思うんですよね。ポップミュージックよりはるか昔からあった合唱というものに」とも。

そのオーディエンスたちの声の重なりを封じ込めざるを得ないコロナの時代のライブはRADWIMPSにとってあらかじめ大きなピースを失うことを前提に臨むものだった。

メジャーデビュー15周年の今年、RADWIMPSは3月から初のドーム公演を含む「こんにちは日本~KONNICHIWA NIPPON~ TOUR 2020」、さらには北米、ヨーロッパ、アジアをまわる予定だったワールドツアーを開催予定だった。しかし、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響によりそのすべてが中止となってしまった。コロナの時代によってかかった負荷により消滅してしまったさまざまな周年のトピックスと出来事。それらを受け止めながらしかし、RADWIMPSはそれでも今やれること、やるべきことに最大限の熱意と創造性を注ぎ、また新型コロナウイルスに細心の注意を払うことで横浜アリーナにて有観客と配信のハイブリッド方式の特別公演「15th Anniversary Special Concert」の開催を決意した。

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