音楽業界の未来、実はストリーミングではなくSNSが重要

先見の明がある投資家たちの資金が集まるオンラインでのカラオケや音楽制作が、音楽業界にとってますます重要なビジネスへと成長している(Photo by Griffin Lotz)

定額制音楽配信、いわゆるサブスクは、音楽業界に年間85億ドル(約8880億円)の売上を生み出している。しかし、音楽業界の今後の最大の成長は、ソーシャルメディア、ゲーム、ライブストリーミング、フィットネスにかかっているかもしれない。

音楽業界でいちばん伸びているプロフィットセンターは何だろう?

何年もの間、この質問に対する明快な答えは、ストリーミングだった。しかしながら、いまは違うと業界に精通したある人物は言う。その人物とは、ワーナー・ミュージック・グループ(以下、WMG)のスティーヴ・クーパーCEOだ。

昨年、WMGの音楽事業は38億ドル(約3970億円)を超える売上を同社にもたらした。そのうちの63パーセントは、Spotify、Apple Music、YouTubeによるものだ。だが、11月23日に同社が最新の財務結果を発表した際、クーパー氏はあることをアナリストたちに明かしたものの、不可解にも彼の発言は見過ごされてしまった。「Facebook、TikTok、Snapchat(訳注:米スナップ社が運営するスマホ専用のSNS)をはじめとするソーシャルメディアとのますます拡大するパートナーシップとともに、はやくもソーシャルメディアは9桁(1億ドル)の収入をもたらしてくれる重要な収入源となっており、サブスク型ストリーミングより早い割合で成長しています」とクーパー氏は述べていた。

筆者がWMGの担当者と再確認したところ、当時クーパー氏が言及した「9桁の収入」は“年収”を指しており、それは2桁の割合で毎年急増している。

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表面的には、これは取り立てて驚くべきことではないように見える。巨大ソーシャルメディア会社は、巨大音楽会社の楽曲を使用するため、大金を支払っている。この手の話題に関しては、記憶力が悪いからといって気に病む必要はない。楽曲使用に対し、Facebook、TikTok、Snapchatはなんと2018年第1四半期になってもWMGにビタ一文も払っていなかった(Facebookは、実際、音楽著作権を自由気ままに侵害していた)。2018年3月、WMGはFacebookと子会社のInstagramと初の“総合的な”ライセンス契約を結んだのに対し、Snapchatは2020年8月まで同社と音楽ライセンス契約を結ばなかった。2020年8月に米国でサービスをスタートしたTikTokにいたっては、WMGの音楽事業部門との間に長期的なライセンス契約をいまだに結んでいない。

Translated by Shoko Natori

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