斉藤壮馬が語る新章 エモと『おジャ魔女どれみ』が共存する音楽の沼

仮タイトルのこだわり

ー仮タイトルには斉藤さんなりのオマージュが出てると。リバティーンズとクリブスは分かるけど、『おジャ魔女どれみ』がそこに入ってくるんだみたいな。

斉藤:これまでだったら『おジャ魔女どれみ』は選んでないんですけど、第2期はそういうのも選んで行こうかなと。音楽って、特定のフレーズをストレートに引用するのではなく、その発想の転換というか、アイデアの方向性を借りて自分なりの表現を作っていくものだと思うんです。ただポップでカッコイイだけの曲にしてもちょっと物足りないなと思ったので、いい意味での遊びが欲しかったんです。意外と僕が子供のころ聴いていたアニメの曲って、こういう早口スタイルが多いかもしれません。『サイボーグクロちゃん』とか、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』とか。

ー洋楽っぽい響きと、アニメの曲のハイテンションな感じは、意外と相性がいいのかもしれない。

斉藤:早口で話すように歌うのってパンク・バンドでもよくやったりするじゃないですか。それこそリバティーンズもそうですし。ピート(・ドハーティ)とカール(・バラー)の早口って、ヨレヨレじゃない?みたいな。その酔いどれ感みたいな発想を「Summerholic!」で引用したかったんです。メロディがあるようでない、ないようであるその性急な感じがこの曲にとてもマッチしているのではないでしょうか。「ペトリコール」の歌メロがある意味歌謡曲的というか日本っぽいんだとしたら、「パレット」はUS、「Summerholic!」はUKのいろんなニュアンスを上手く引用できたらいいなと思ってました。

自分的には日本語でやることにこだわりがあるんですが、「Summerholic!」の歌詞は早口で言うのが難しくて、“まだまだ”とか引っかかるような言葉が多くて。正直、この作詞家さんイヤだなって思いましたね。自分ですけど(笑)。しかもダブらせなきゃいけないから、最低2回はOKテイクを出さないといけない。いま振り返るとよく歌えたなーって思いますね。“大丈夫だってばまだまだお昼で正気もそこそこ保っているから”の部分がめっちゃ大変で。そういう意味でもベストテイクだと思います!

ーサーフガレージ系のロックというか、リバティーンズとかそういうバンドが好きなんだろうなぁとニヤリとさせられつつ、歌詞を読んだら「全然爽やかじゃない! 家に引きこもってるだけの歌だ!」と思って、そのひねくれ具合が斉藤さんらしいと思いました。

斉藤:今回はまったく参考にしてないですけど、たとえばXTCのようなひねくれ具合というか、UKのバンドといえばやっぱりそうじゃないとみたいなのありますよね。「Summerholic!」は素直にひねくれてる曲です。途中で“乾杯~!”って歌詞が入ってますけど、もし万全の状態でライブができるようになったら、一緒にみんなでやれたら楽しいだろうなって思います。



ーこの曲はギターが引っ張っていってますね。

斉藤:まさかタッピングが入るとは思いませんでした。武正さん(小野武正:KEYTALK)さんの超絶テクニックが炸裂していて。「宴もたけなわ」感がすごくあって、好きです。
試してみたい作り方はまだまだたくさんある

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