ローリングストーン誌が選ぶ、2020年の年間ベスト・ソング50選

10位 The Chicks「Gaslighter」


ザ・チックス(旧称ディクシー・チックス)は、1999年リリースのシングル「Goodbye Earl」の黄金時代ぶりとなる最高傑作アンセム「Gaslighter」で2020年に見事なカムバックを果たした。同楽曲は、ひりひりするほどパーソナルでありながらもビビッドな普遍性に焦点を当て、メンバーのナタリー・メイズは、自ら経験した壮絶な離婚を発射台として、ガスライターの光を頼りに、いたるところにはびこる愚か者たちをつまみ出した。もちろん、ホワイトハウスから追い出されたばかりの人たちもだ。——J.D.

9位 ハリー・スタイルズ「Adore You」


ハリー・スタイルズが極めて独創的なアルバム『ファイン・ライン』をリリースしたのは、2019年12月13日だった。それでも同作は、2020年を代表する大ヒットポップアルバムのひとつとなり、スタイルズは次々とヒットを飛ばした。同作に収録されている「Adore You」は、ラジオのロングランヒットとなり、2020年の全週にわたって音楽チャートにランクインし続けた(これと同じ快挙を成し遂げたのは、ザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」だけ)。スタイリッシュでサイケデリックなソウルナンバー「Adore You」でスタイルズは、「ストロベリー色のリップスティックのような精神状態」を夢想し、聴く人を魅惑的なその世界へと誘う。—R.S.

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8位 フィオナ・アップル「Ladies」


フィオナ・アップルの最新アルバム『Fetch the Bolt Cutters』は、多くの意味で彼女のキャリアにおける勝利であり、「回転ドア」のように次々とガールフレンドを変える元恋人に宛てた架空のラブレター「Ladies」ほど、見事にそれを証明するものはない。この楽曲は、誠実で心がこもっていると同時に、アイロニックで笑いを誘う。残された荷物を文字通りすべてチェックリストから外し、新しい愛を見つけた昔の恋人のために置いてきたことを歌うとき、アップルがこれほど自信に満ちあふれていたのは、今回が初めてだった。—C.S.

7位 BTS「Dynamite」


防弾少年団ことBTSは、初の全米ナンバー1ヒット「Dynamite」でさらなる偉業を達成した。この楽曲は、K-POPに新たな金字塔を打ち立てただけでなく、グループ初の英語でのヒット曲でもある。それでいて「Dynamite」は紛れもなくBTSのサウンドであり、1980年代のディスコスピリットを想起させる。同楽曲は、一人ひとりのメンバーが主役となって進行する。7人全員がそれぞれの才能を見せつけているが、ジョングクが「Cup of milk, let’s rock and roll/King Kong, kick the drum/Rolling on like a Rolling Stone!」と叫ぶや否や、彼がスポットライトの中心になる。—R.S.

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6位 デュア・リパ「Don’t Start Now」


デュア・リパの「Don’t Start Now」のディープで速いベースは、初めて耳にするサウンドではないかもしれないが、いちばん長く耳に残るだろう。ニューヨークの伝説のディスコ、Studio 54を2020年によみがえらせた「Don’t Start Now」は、ピュアでタイムレスなアルバム『Future Nostalgia』の音と非物質的な世界観を内包している。2020年をはじめ、あらゆる時代にぴったりの楽曲である。満員のクラブで人にぶつかりながら聴きたい同楽曲の「Don’t show up/Don’t come out(来ないで/出てこないで)」というフックは、ステイホーム・ミームにもうってつけだ。—J. Blistein

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5位 テイラー・スウィフト「August」


「August sipped away/Like a bottle of wine(ワインのボトルのように、8月は空っぽになってしまった」や「Cancel plans just in case you’d call/And say, ‘Meet me behind the mall(あなたが電話してきたときに備えて、予定はキャンセルする/そして『モールの裏で落ち合いましょう』って言うの)」など、テイラー・スウィフトの最新アルバム『フォークロア』のハイライトである「August」から最高のメロディーを選ぶのは簡単ではない。いずれにしても同楽曲は、思い通りにならなかった夏の浜辺での恋が描かれている。「August」は、「Betty」と「Cardigan」を含む、ティーンエイジャーの三角関係を描いた『フォークロア』の柱のひとつであり、映画『セント・エルモス・ファイアー』(1985)のテーマ曲のように陳腐なサックスはないけれど、それぞれ異なる視点から同じ物語を語っている。別の「女性」の視点からストーリーを語るとき、スウィフトのしなやかなボーカルは、オーケストラの調べとともに自由に舞い上がる。「Betty」の歌詞にもあるように、絶対にイネスを信じたらいけないのだ。—A.M.

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Translated by Shoko Natori

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