syudouが語る「ボーカロイドとヒップホップ」

ダークな曲調だからこそ「生きる勇気」が湧いてくれると嬉しい

―さて、今回1年半ぶりとなる待望の2ndアルバム『必死』がリリースされます。

syudou:ちょうど勤め人から音楽1本に絞り込んでいる最中に作ったアルバムなんですよ。それで確定申告に追われたり(笑)、提供曲をたくさんいただいたり、前作の時とは比べ物にならないくらい忙しい中で必死に作っていたからこのタイトルになりました。「必死だなあ」と思いながら聴いてほしい。

―それは「冷笑」的な意味で?

syudou:いや、ちょっと違いますね。「必死」って世間的にはダサいじゃないですか。「あいつ必死だよ」みたいな感じでからかわれることは多い。でも僕は「必死」な人の方が人間味があるし命を輝かせていると思うんですよ。何なら「必死だな」って言われたいですもん俺。実際のところ、めっちゃ必死だし(笑)。自分で言うのもなんですが、非常にいいタイトルを付けたと思っていますね。

―例えば「悪い人」(すとろべりーぷりんすのリーダー、ななもり。への提供曲のボーカロイドver.)とか、ものすごく暴力的かつダークな曲じゃないですか。聴いていてかなり食らうんですよ。

syudou:そうですよね(笑)。「うおお、この曲やべえ!」という気持ちになって欲しかったので、そう思ってもらえて良かったです。で、最終的にはこういうダークな曲調だからこそ「生きる勇気」が湧いてくれると嬉しいなと思っていますね。そのときにハッピーエンドかバッドエンドかはどうでもいいし、作品の中に「頑張れ」「生きろ」みたいな具体的なメッセージがなくてもいい。

―確かに。バッドエンドの映画の方が生きる力が湧いてくることもあるし、ハッピーエンドの映画で死にたくなることもありますよね。

syudou:そうなんですよ。『ウィッカーマン』みたいな、「こんなオチかよ」と思わせるバッドエンドの映画あるじゃないですか。そういう作品を観て映画館を出た時に、力が湧いてくるのが好きで。僕の曲も明るいとか暗いとかどうでもいい、「いいものが世の中には溢れているし、死なずに生きていればそういういいものに出会う機会はいくらでもあるんだよ?」ということが言いたかったんです。まあ、自分が好きなモノを作っているだけなんですけど。

―でも、とてもよくわかります。

syudou:ちょっと話は横道にそれますけど、「嫉妬」という感情もそうですよね。僕はめちゃくちゃ同業者に嫉妬するんですけど、嫉妬以外にも抱えていてもどうしようもない気持ちってあるじゃないですか。そういうドス黒くてネガティブな感情も、作品にしてしまえれば少しは報われると思っていて。もちろん、問題も悩みもそう簡単に解決はしないんですけど、それがお金や人気に繋げられるのも曲作りの楽しさだし、自分に向いていることなんだろうなと思いますね。

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