syudouが語る「ボーカロイドとヒップホップ」

オリジナリティが確立した「邪魔」

―最初に注目されたのは「邪魔」ですよね。

syudou:リリースが2018年の1月で、その年の3月に卒業したのでまだ大学生の頃でしたね。「邪魔」ができたことで自分の中の音楽性がかなり確立されました。その要素は大きく分けて2つあります。一つは「絵」。今、一緒にやっているヤスタツさんと出会えたのは大きかったです。ヤスタツさんは以前から僕の上げていた音源を気に入って下さっていたみたいで、彼がTwitterをフォローしてくれた時に僕も作品をチェックしたらすごく好きな感じだったので、「一緒にやりたいな」と思って「邪魔」が出来たタイミングで声をかけたんです。



もう一つは「歌詞」。「邪魔」が出来るまでは「自分を偽る」というと大袈裟だけど、「自分はどういう曲を求められているのか?」ばかり考えて曲を作っていたんです。それだと全然パッとしないんですよ。なのでもうヤケクソになって、「自分の好きなように曲を作ろう。それでもし『こいつ性格悪いな』と思われても仕方ない、やるだけやってみよう」と思ったら「邪魔」が出来て、それで今までやってこられた。

―ちょっとエグ味のあるメロディも特徴的ですが、それはどんなところから影響を受けていると思いますか?

syudou:昔から暗いメロディが好きなんですよね。まず米津玄師さんの影響はメロディに限らずぶっちぎりでデカいんですけど、倉橋ヨエコさんや戸川純さんもずっと好きでした。あと岡村靖幸のクレイジーな感じとか(笑)。

メロディに関しては、高校生くらいまでに聴いてきたものがベースになっているんじゃないですかね。サウンドの好みはどんどん変わっていると思うんですけど、メロディは結構「言語学習」に近いというか。決まった年齢までに何を聴いていたかで、好みがかなり決まる気がしますね。もちろん、今も勉強はしていますが。

―noteには「投稿した動画が1000万再生したら人生が変わった話」という記事も投稿していましたよね。

syudou:「ビターチョコデコレーション」(以下「ビタチョコ」)が1000万再生を突破して、ちょっと前までは想像もできなかったことがたくさんおきました。さっき名前を挙げたような、自分がずっと会いたいと思っていたアーティストにも大体会えたし。



確かnoteには「会社員時代よりも収入が増えた」とか「時間が増えて好きなことに打ち込める」なんて書いていたけど、そんなことより「会いたい人に会えるようになってきた」ということが、自分にとっては何より大きいです。自分が憧れていたアーティストが、どういう考えで曲を作っているのかを直で聴けるわけですからね。もちろんレベルは全然違うけど、自分も同じ音楽の作り手という立場でその人たちと酒を酌み交わせる喜びは格別です。

―アーティストのどんな話が印象に残っていますか?

syudou:さっき名前を挙げた、尊敬する某アーティストと飲んでいたときに僕が、「曲を作っているときに『懐かしい』という感覚って大事じゃないですか?」と尋ねたら、「そうだよな。俺の田舎のじいちゃんは2つある山の一方に住んでてさ、じいちゃんの家が建つ山には陽の光がいつも当たっていて。そこから陽の当たらない、もう一つの山をよく見てたんだよね……わかるっしょ?」って言われたんですよ。「ええ? 分かる……かもしれないけど」みたいな。

―はははは!

syudou:結論に至るまでの説明が二つ三つ省かれてる。音楽をやっている人と話してると、結構それ「あるある」なんですよね。で、そういう人同士が話しているともう何が何だか分からない。「この人たち、本当に会話のキャッチボールできてんのか?」と思うんですけど、見ているとほんと面白くて。いずれ僕もその会話に混じりたいです(笑)。

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