syudouが語る「ボーカロイドとヒップホップ」

ボカロPの感性は、サウンドクラウド・ラッパーに近いものがある

―ボーカロイドとヒップホップの比較は興味深いです。

syudou:ヒップホップも最初はトラックをサンプリングするブーム・バップから始まって、異ジャンルをどんどん取り込むことで広がっていったじゃないですか。ボーカロイドも最初は「初音ミク」というキャラ優先のオタクジャンルだったのが、そこに、言い方は悪いですがバンドで上手くいかなかった人たちが流れ込んできて……自分もその一人なんですけど(笑)、そういう人たちがいろんな要素を詰め込んでいった結果、今みたいに広がって面白いことになっていると思うんですよね。

―確かにボカロ含むオタク・カルチャーのマインドというのは、ある意味ではヒップホップ的な要素と共振するものがある気がします。KOHHもボーカロイド発ヴァーチャルアーティストIAとコラボしていましたよね。

syudou:「働かずに食う」ですよね、最高でした。音が悪かろうが、どんどんネットに作品を上げていくボカロPの感性は、サウンドクラウド・ラッパーのそれに近いですよね。そういう意味では、実はオタクカルチャーの流れは海外の流れとも繋がっているんですよ。それを理解せず、ただの「オタク文化」だと思っている人が多過ぎてほんともったいない。でも、それを言うとみんな賢くなっちゃうので言わないですけどね(笑)。



―(笑)。ちなみにヒップホップはどの辺が好きなんですか?

syudou:ベタですがやっぱりトラヴィス・スコットは外せないですよね。コロナになって、いち早く『フォートナイト』で仮想空間イベント「Astronomical」を開催して。しかもあれだけクオリティの高いものを作ってしまう。最近もNIKEやマクドナルドとコラボしたり、そこから「FRANCHISE」という曲をリリースしたり。目が離せないですよね。あとインターネット・マネーもものすごく戦略的だし、本人たちの成長ストーリーも含めて大好きです。もちろんケンドリック・ラマーも最高。歌詞を自分で訳してみてビビりましたもん。こんな、俺ごときの拙い英語力でもこんなに響いてくるのか!って(笑)。各トラックも素晴らしいのですが、「このアルバムのその位置に、その曲持ってくる??」みたいな。アルバム全体の見せ方もユニークなんですよね。



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