TikTokで人気、「ラリった初音ミク」ことアシュニコの魅力を辰巳JUNKが解説

「インターセクショナリティ・フェミニスト」を名乗るアシュニコ

すべての人々を内包するため学び続ける「インターセクショナリティ・フェミニスト」を名乗るアシュニコは、意外にも保守的な環境で育った。1994年に生まれた彼女が10代で家族とエストニア、ラトビアに移住し、18歳ごろ音楽家を目指してロンドンに単身渡ったことはよく語られるが、生まれ自体はアメリカのノースカロライナ州の郊外だったという。楽曲「Working Bitch」の牧歌的サウンドからもうかがえるように、両親は娘にカントリー音楽を聴かせたという。同時に、幼きアシュニコが魅入られたのは、誇張表現やエキセントリックなセンスで反抗を発信していった女性アーティストたちだ。iPodに初めてダウンロードしたM.I.A.を筆頭に、パラモアやグウェン・ステファニー、ニッキー・ミナージュ、ビョーク、ミッシー・エリオット、リル・キム等を愛聴。男性アーティストの音楽は16歳ごろまで聴かなかったというのだから筋金入りだ。パワフルな女性アーティストに憧れるなか、Tumblr、つまりインターネットで触れたフェミニズム思想を独学していったことで、本名アシュトン・ニコール・ケイシーを略した「アーティスト・アシュニコ」の基礎が形成されていったという。

みずからの音楽性を「pop-punk-hip-hop-bubblegum」といった風に語るアシュニコだが、待望のデビュー・ミックステープ『Demidevil』には、彼女のルーツとも言えるきらびやかな2000年代女性スターの影響が垣間見える。たとえば収録予定曲「L8r Boi」は、アヴリル・ラヴィーンのクラシック「Sk8er Boi」リワークであり、コミカルでR指定な2020年バージョンだと語られている。アヴリル側が原曲の使用許可を出したのは初めてというのだから、アシュニコへの期待と信頼がうかがえる。同じく収録予定「Toxic」の場合、そのままブリトニー・スピアーズの同名曲を下敷きにしており、音楽産業の身勝手な男性たちが描かれるようだ。極めつけには、ケリスの世紀末の名曲「Caught Out There」をサンプリングした「Deal With It」まで仕込まれている。「怒りと自信が入り交じる弱さ」も明かされるという新境地『Demidevil』のリリース予定日は2021年2月19日。記念すべきことに、アシュニコ25歳の誕生日だ。加えて、彼女がたった24年の月日で打ち立てた勇敢な音楽を今から体験する時間もたっぷり残されている。


・Ashnikko 「Daisy」 日本語字幕付き動画


 
■リリース情報
Ashnikko / アシュニコ
デビュー・ミックステープ『Demidevil / デミデビル』

2021年2月19日リリース予定
トラックリスト:
1. Daisy
2. Toxic
3. Deal With It
4. Slumber Party (feat. Princess Nokia)
5. Drunk With My Friendz
6. Little Boy
7. Cry (feat. Grimes)
8. L8r Boi
9. Good While It Lasted
10. Clitoris! The Musical

アシュニコ「Daisy」」好評配信中
ダウンロード/ストリーミングはこちら:
https://Japan.lnk.to/Ashnikko_DaisyM2

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE