東京・渋谷発の多国籍音楽集団ALIが描く、血の通った音楽と哲学

──「LOST IN PARADISE」の歌詞に「Tokyo prison」という単語が出てきます。ここ数年、再開発で、渋谷の街自体が大きく変わってしまいました。それも踏まえで、どういうスタンスでこの単語を使ったのかなと思いまして。

Leo :「LOST IN PARADISE」のテーマを考えていた時は、まだコロナ前だったんですけど、世の中の抑圧を感じていたんです。スマホで買い物をしていても、まるでエスカレーターを上がるように「こういうふうに楽しんでください」とオススメが出てくるじゃないですか。渋谷で言うと、パーティのイベント会場がめちゃくちゃ増えたんですけど、音響がめちゃくちゃ悪かったり、音がめちゃくちゃ小さかったりすることが多くなった。僕の育った環境や憧れていたのは、まず音があって人が集まってくるという順番だったのに、そのあたりもシステムが先立つというか、大きく変わってしまった。

──中身より先にハコなどのシステムができてしまうことへの苛立ちのようなものを感じていた、と。

Leo : 音楽がBGMみたいになっていることがすごくつまらなかったんです。街に憧れがあった分の悲しみというか全体に対する憤りがある。そういった意味で監獄みたいな東京にもう1回火をつけてやるみたいな想いはありました。

──prisonが意味するところを、もうちょっとだけ詳しく教えてほしいです。

Leo : コロナになって言葉通りにロックダウン状態になったときは怖かったんですよね。ただ、今は一旦そういう感覚がリセットされて、音楽に対する飢えとか喜び、必要性みたいなものをみんな感じていると思うんです。なんとなく適当にやっていたり、薄っぺらくやっていたりするものが全部リセットされた。どの業界も本当に血の通っているものしか生き残っていかないんじゃないかと感じていて。血が通うってことは、そこにドラマと生き様が残っていることでもあるんですよ。ライヴハウス一つとっても、一生懸命情熱を持ってやっているところは、なんとか維持しようと頑張っているけど、システムが先行しているところには人もついてこないし潰れていっちゃう。これからは、中身に血が通ってないと持たないというか、伝わらない時代なんじゃないかなと思うんですよね。

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE