『あの頃ペニー・レインと』公開20周年、監督が明かす制作秘話

撮影現場でのクロウとペニー・レイン役のケイト・ハドソン(Photo by Neal Preston/Dreamworks pictures)



ワインバーで告げられた楽曲使用の返答とは?

ー映画ではレッド・ツェッペリンの曲が複数使われています。あなたはロンドンまで赴き、ジミー・ペイジとロバート・プラントに映画を観てもらったそうですが、彼らの反応はいかがでしたか?

クロウ 却下されるリスクは承知してたよ。劇中ではレッド・ツェッペリンの曲を4つ使ってるんだけど、(サントラのプロデュースを担当した)ダニー・ブラムソンはバンド側と密にコミュニケーションを取ってたし、最大限の敬意を示そうとしてた。僕らはジミーとロバートが顔をあわせる稀なタイミングに合わせて行動し、テープを入念にチェックし、ビジネス面の話を詰めた。その日の終わりに、あるホテルの地下劇場で2人に作品を観てもらったんだ。

立ち会ったのは編集担当のジョー・ハッシング、ダニー、それに僕の3人だけだった。僕らは最後列に座り、ジミーとロバートは前から3列目に並んで座ってたよ。2人は時々顔を寄せて、互いの耳元で何か話してた。彼らの頭が動くたびに、僕らは顔を見合わせてこう言った。「ヤバい、彼らは退出するタイミングを見計らってるんだ」

「俺は輝ける神だ!」っていうあのシーンでは、プラントはただ笑ってた。豪快な笑い方で、「まだ望みはあるらしいぞ」って胸をなでおろしたよ。ジェフ・ベイブに「ラッセル、お前ハイになり過ぎて『俺は輝ける神だ』って叫んでたぞ」って言われて、ビリー(・クラダップ)が「言ってねぇよ。いや、言ったのか?」って返すシーンで、プラントは「確かに言った!」って声を上げたんだ(笑)。あの時はこっそりハイファイブしたよ。

映画を観終えた時、2人とも笑顔だった。プラントは通路を上がってきて、僕らの隣に立つとこう言った。(見事にロバート・プラントになりきって)「キャメロン、君の母親は本当にあんな感じなのか?」って言われて、「実際はもっと極端ですよ」って僕は返した。彼は笑って、ジミーに向かってこう言った。「70年代前半からずっとしまったままのメタカロン(薬物の一種)が家にあるんだけど、今夜は使っちまおうかな」



ー楽曲の使用許可はどうやって得たのですか?

クロウ ホテルを出た後、彼らが通りの向かいにあったワインバーに連れていってくれたんだ。そこで彼らはこう言った。「悪いが『天国への階段』は却下だ、あれはトゥーマッチだからね。あの曲は何にも使わせないことにしてるんだ」。肩を落とす僕らを見て、ペイジはこう言ってくれた。「代わりに、バスキングっぽいアコースティックの曲を提供するよ。それならタダで使ってくれて構わない」。それで「天国への階段」が「ブロン・イ・アー」に置き換えられたんだ。

映画に穴を開けないために曲を無償で提供してくれるなんて、本当にうれしかったよ。ワインバーを出た後はみんなで通りを走って、その後はジェフ・バックリィがいかに素晴らしいかをひたすら語り合った。まさに最高の夜、いやむしろ最悪の夜と言うべきなのかな。いずれにせよ、ものすごく勇気付けられたことは確かだよ。レッド・ツェッペリン抜きじゃ、あの映画は成立しないからね。

ー当初はニール・ヤングが出演する予定だったんですよね?

クロウ 彼はラッセルと疎遠になっている父親のハリー・ハモンドを演じる予定で、若い妻を連れてクリーブランドでのショーのバックステージを訪れるっていうシナリオだった。2人はショーの出来を讃えるんだけど、ラッセルはその女性の視線を感じ、息子の成功に預かろうとする父親がただ弄ばれているんだと気づく。名声が複雑な親子関係をどう変化させるのかを描いた、切ないシーンなんだ。

ちょっとした見どころになるはずだったんだけどね。ベッツィー・フェイス・ハイマンがニール・ヤングの衣装を担当してて、当日着る服なんかも全部用意してたんだけど、当日の朝になってドタキャンされたんだ。でも彼は「コルテス・ザ・キラー」のアコースティック版の提供を申し出てくれて、アーカイブの中から完璧なテイクを掘り出してミックスまでやってくれた。だから全部チャラなんだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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