ジミー・ペイジが大いに語る、レッド・ツェッペリンの歩みとギタリスト人生

ジミー・ペイジ。1973年、英イースト・サセックスにあるホームスタジオにて撮影。(© Jimmy Page Archive 2019)

ジミー・ペイジが新刊『アンソロジー』の出版を前に、レッド・ツェッペリンの数々の名作やジョン・ボーナムの素晴らしさ、ヒップホップに魅了された理由などを語った。

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ジミー・ペイジはインタビューを受ける前に、「君はギターを弾くかい?」と質問してきた。筆者はペイジの期待通り「イエス」と答える。「それなら話は早い」と彼は言った。

ペイジがロンドン郊外の自宅から電話をくれたのは、2020年10月初めのことだった。彼はガールフレンドと3月から隔離生活に入っている。「庭園が付いているから、自宅に軟禁されているような感じはしない」とペイジは言う。「ただし二人とも、直接会う人間には十分過ぎるほど気を付けている。だからこの6、7カ月で会ったのは、ほんのひと握りの人たちだけだ。」

76歳になったペイジはコロナ禍の長く幅広い休止の期間を、書籍とレコードのコレクションを整理しながら過ごしている。また、朝食後すぐにギターを持つという新たなルーチンも始めた。「ロックダウンに入った途端に、“あれをしたかった、これをやっておけばよかった”などと後で悔やむのは嫌だと思った。常に“全てやり切った”と思っていたいのさ」と言う。ペイジはここ数年、新たなソロアルバムの制作に取り掛かっているようなことをほのめかしてきた。しかし今回のインタビューでは、ただ新曲を書いているとだけしか言わなかった。ペイジはいつも、相手に推察させるような言い方を好む。



ペイジは10年前、著作『ジミー・ペイジ・アンソロジー』で大まかに自分の人生を振り返った。写真も含んだデラックスな自叙伝だ。そして今、ペイジは新著『ジミー・ペイジ・アンソロジー』の仕上げに取り組んでいる。同書はザ・フー、ザ・キンクス、ザ・ローリング・ストーンズらとのセッションワークからヤードバーズ時代、そしてもちろん、世界を変えたレッド・ツェッペリンまでを網羅している。インスパイアされた音楽、使用したギターや衣装、レコーディングセッションの思い出が詰まっている。さらに、「天国への階段」で使用した全ての楽器や、ツアーのセットリストのクローズアップ写真も楽しめる。レッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムに見られる、謎めいたZOSOシンボルも随所に登場する。ファンが最も興奮するのは、当時の彼の思考過程について詳細に記述している部分だろう。楽屋でのドラッグや魔術についての暴露本などではなく、神秘に包まれたロックの偉人の一人の心の中を覗ける貴重な機会なのだ。

※編注:日本では今年4月より同書のコレクターズエディションの予約販売が開始。その後、10月よりスタンダード版が流通開始。

今のペイジは、本に掲載された多くの写真を見ながら、自分の音楽人生の意外な展開を振り返って誇らしげに微笑んでいる。彼はポピュラー音楽の流れを幾度となく変えてきたし、それは自分自身も認めている。率直な物言いをするペイジは、革新的なアイディアがどのように生まれたかを長く思慮深い答えで返すことも多い。「この本には長い歴史が詰まっていて、読み応えがある」と彼は言う。「音楽、ギター、バンド、その他諸々に興味を持ってくれた読者の期待に応えられるといいけれど。でも君や僕と違ってギターを弾かない人でも、チンプンカンプンにはならないだろう。ここになぜ6弦や12弦のギターが出てくるのか、或いはインドの楽器が登場するのか、誰でも理解できるようになっていると思う。教本のようなものになってくれたらいいと思っている」

Translated by Smokva Tokyo

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