71億回再生突破、世界中で大ヒットした童謡「ベイビー・シャーク」が音楽出版社と契約

大ヒット童謡「ベイビー・シャーク(サメの家族)」音楽出版社と契約。 Rodney Choice/APRodney Choice/AP

米ソニーATVミュージックパブリッシングは、空前絶後の大ヒット童謡「ベイビー・シャーク(サメの家族)」の音楽出版社になることを発表した。

同じメロディが何度も繰り返され、(子ども以外は)耳障りで完全に時代遅れだと感じる童謡「ベイビー・シャーク(サメのかぞく)」。米ソニーATVミュージックパブリッシング(以下、ソニーATV)が言うには、そんな「ベイビー・シャーク」の勢いは今後も止まらない。米現地時間11月13日、世界最大の音楽出版社であるソニーATVは、「ベイビー・シャーク」をはじめ、韓国の幼児向け教育コンテンツブランド・Pinkfongが抱える全楽曲カタログの音楽出版事業を今後取り扱うことを発表した。今回の合意の金銭面での詳細について本誌はソニーATVにコメントを求めたが、同社はすぐに応じなかった。

>>動画:71億回再生を誇る「ベイビー・シャーク」

今回の合意によってソニーATVが手に入れた何千もの楽曲を除いても、「ベイビー・シャーク」は独自のビッグ・ビジネスとして成り立っている。同楽曲は、ダイヤモンド認定(少なくとも1000万枚は販売されている、ということ)された初の幼児ソングであり、先週はルイス・フォンシとダディ・ヤンキーの大人気ラテン・ポップソング「Despacito」を退け、YouTube史上もっとも高い再生回数を記録した。現時点の再生回数は、71億を超える——それもPinkfongの動画だけで。同楽曲をフィーチャーした他の複数の動画も数億回再生されている(あのルイス・フォンシもこのブームにあやかろうと、数カ月前に「ベイビー・シャーク」をカバーした)。

米中西部オクラホマ州の日刊紙Oklahomanが報じたところによれば、「ベイビー・シャーク」は単なる耳障りな楽曲ではなく、その度合いは拷問並みの苦痛に匹敵するという。というのも、大音量の同楽曲を無限ループで受刑者に無理やり聴かせたとして、数人の看守が軽犯罪で起訴されたのだ。それでも幼いオーディエンスに対する「ベイビー・シャーク」の影響力は見事なもので、音楽出版社にとって同楽曲の知的財産とメディア関連のチャンスは、熟れた果実のように魅力的だ。

ブームを巻き起こしている楽曲カタログ取得の推進力となっているのは、シンクロと音楽ライセンスがもたらすチャンスだ。Hipgnosis Songs FundやPrimary Waveといった音楽の知的財産を管理する企業は、他のメディアでの使用を目的に、楽曲の取集に数十億ドルをつぎ込んでいる。

ソニーATVのブロードキャスト&メディアライツ部門のシニア・ヴァイス・プレジデントを務めるキャシー・メレンダ氏が声明のなかで述べたとおり、同社は「ベイビー・シャーク」を大手メディアフランチャイズへと拡大させるためにPinkfongと手を結んだ。要するに、私たちは今後も「ベイビー・シャーク」を耳にすることになるのだ。ソニーATVとのパートナーシップ以前からこの動きはあり、「ベイビー・シャーク」はいまや、オリジナルの玩具のラインナップやライブ・ミュージック・イベントを展開しているだけでなく、幼児・児童向けの番組を専門とする米ニコロデオンの番組も企画されている。

「『ベイビー・シャーク』の世界をさまざまなメディアに拡大するため、Pinkfongとパートナーシップを結んだことにワクワクしています」とメレンダ氏は話す。「計り知れないポテンシャルを持つこの楽曲は、世界中でセンセーションを巻き起こしました。これからもPinkfongと『ベイビー・シャーク』が成功するための最高のチャンスを私たちが提供できると確信しています」。

Translated by Shoko Natori

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