キース・リチャーズが語るロックンロールの真髄、最高のリフを作る秘訣、BLM運動への共感

キース・リチャーズ(Photo by Paul Natkin)


「フロントマン」を経験して学んだこと

―パラディアムでは「Connection」をプレイしていますが、これはあなたが歌ったストーンズの初期の曲です。あなた自身、子供の頃に聖歌隊で歌っていたわけですが、自分のロック・ヴォイスを見つけるのは大変でしたか?

キース:基本的にはストーンズとミックと曲作りしていて見つけたよ。たとえば俺が「こんなふうになる」と言うと、ミックがそれを歌うんだが、時々ミックが「なあ、これはお前が歌ってくれ」とか「一緒にハモろうぜ」とか言うのさ。そんなふうに最初はミックと一緒にハーモニーを歌うところから始まった。よく覚えていないけど、最初の曲は「The Last Time」と「Tell Me」だったと思う。歌った俺自身は最悪だと思ったのに、他の連中はすごく気に入っている。それに、俺が歌詞や曲を作るから、ミックに聞かせるにはまず俺が歌わなきゃいけない。ミックはそれを聞いてどうするかを決めるわけだよ。

まあ、歌うことは俺にとって自然なことで、ギターは努力することだった(笑)。でも、音楽は音楽だ。音楽では歌を歌うし、楽器も演奏する。そこに大きな違いはないのさ。歌では自分の声を、楽器では指とか足とか演奏するのに必要な部位を使うってだけのことだよ。



―あなたがストーンズで最初に歌った曲は「You Got The Silver」でした。

キース:ああ、そうだ。あれは偶然そうなったわけじゃないね。曲を作り、ミックが歌ってみて、最後にメンバーが「これはお前が歌えよ」って。別に大変でもなかったし、仕事を分担しただけの話さ。

―アルバム『Talk is Cheap』がリリースされたとき、ステージでのミックに対して新たなリスペクトが生まれたと言っていました。フロントマンとしての経験から知った事実はどんなことでしたか?

キース:突然フロントマンになると、ステージ前面に立つだけで押し寄せてくるプレッシャーがどんなものかを理解する。俺はミックや他のフロントマンたちが経験することがどんなものか十分に理解した。ストーンズでの俺は前にでたり、後ろに引っ込んだりできるし、そんなふうにギタリストには選択肢がある。しかしワイノーズでの俺はフロントマンで、そんな選択肢がない。声が潰れたとしても、とにかく歌わなきゃいけないんだよ。そんなことから、フロントマンが感じるプレッシャーが何か気付いたし、それは一度も忘れたことがないね。

―これまでミックと一緒にやってきた年月を経て『Talk is Cheap』を作ったことで学んだ一番大きなことは何ですか?

キース:実のところ、安堵の感覚かな(笑)。っていうか、とにかく違っていた。ストーンズにいることは全部……とにかくストーンズにいられて最高だし、今でも続けていられるし……でもこのバンドは怪物だ。あのアルバムを作った頃の俺も、あの頃のミックも……彼が何をしたにしろ、俺たちはとにかくストーンズという工場の外で活動する必要性を感じた。その時期を経てバンドに戻ったときに外での経験がストーンズに役立つと思ったし、実際にそうだった。『Steel Wheels』や『Voodoo Lounge』の頃には大丈夫な状態になった。ただ、その前に一度、外で発散する必要があったんだよ。



―当時「You Don’t Move Me」でミックのことを歌っていたように思えたのですが、最近は平穏な状態を保つために踏み越えないようにしている境界線のようなものはありますか?

キース:そんな境界線は一切ないよ。常に何らかの失敗があるだけ。でも心配ない。だって、俺たちはローリング・ストーンズだから(笑)。みんな、困難を切り抜ける術を知っている。それに、本当に奇妙なことなんだが、「You Don’t Move Me」を作ったときは、みんなが思っているような意識はまったくなかったんだ。ただ、何故かそんなふうに聞こえるようになった。最初は違っていたのに。そんなふうに変化したってことなんだ。

―最初は何についての曲だったのですか?

キース:彼女の名前は絶対に言わないよ。いいね?

―1977年にトロントでの麻薬取り締まりで逮捕された事件の裁判を待つ間、けっこうな数のソロ曲のレコーディングをし、これがブートレッグとして出回りました。この中の数曲はロン・ウッドのバンド、ニュー・バーバリアンズでプレイしましたが、伝説となっているあの楽曲を公式にリリースするつもりはないのですか?

キース:ブートレッグの方がいいと思う楽曲もあるんだよ。あのレコーディングは本当に楽しかったけど、あれがどうやって漏れたのかは全くわからない。ただ、あの頃の俺は漏れても気にならなかった。あとで他の人たちも気に入ったことを知り、俺は「じゃあ、俺が自分のブートレッグ作ったらいいんじゃねぇか」と思ったよ。それに、公式にリリースしたらブートレッグじゃなくなるだろう。とは言え、公式リリースも一つのアイデアだから、もう一度考えてみるよ。

―あのとき、米国政府があなたを助けて、アメリカ国内でヘロイン中毒の治療を行わせましたよね。

キース:その通り。俺はこの国を本当にリスペクトしているぜ。彼らはちゃんと約束を守って、俺に責任を持ってくれた。最高だよ。だから連中を非難するなんて絶対にしない。

―アメリカ国内のオピオイド汚染が近年話題に上っていますが、オピオイドについてこの国の人々が知るべきことは何だと思いますか? またこの国はどんな対策をすべきだと思いますか?

キース:そうだな、オピオイドというやつは鎮痛薬なんかじゃない。ある意味、あれは薬害で、製薬会社に問題があるのさ。薬を使用する側じゃなくてね。国境を渡ってカナダに行けば5ドルで入手できることをみんな知っている。でもアメリカ国内では数百ドルする。そうなったらどうするか、簡単にわかるだろう?

Translated by Miki Nakayama

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