T字路sが語るコロナ禍で見つめ直した原点、結成10周年とふたりの新しい旅路

10年目にして初めてのラブソング

―歌詞はどうでした?

伊東:歌詞はやっぱりちょっと苦しみましたね。

―バンドを始めた頃は日々思ってることを吐き出したりとか、わりと勢いで書けるところもあると思うけど、だんだん言うこともなくなってくるわけじゃないですか。

伊東:ほんとにそうなんですよ。

―そこでどうするかって話ですけど。

伊東:うん。でも、それに関しても今までよりは楽しめたというか、今回は曲ごとに物語が作れたなという気がしていて。前はわりと同じテーマのなかで苦しんでいた気がするんですよね。それと、今回初めてラブソングに踏み出したというのも自分にとっては大きくて。今まで避けてきたけど、やっぱり恋こそが人生のパッションであるとか思ったりして。

―いままではどうしてラブソングを避けてたんですか?

伊東:恥ずかしいから。

篠田:それはでも、恋愛ソングみたいなものでしょ? 人間愛とかそういう大きな意味でのラブソングはあったよね。

伊東:もちろんそれはあったんですけど、恋愛の歌詞というのは避けていたんです。けど、今回は乗り越えてみようと思って。そもそも聴いてきた曲の8割方がラブソングじゃないですか。ブルースにせよジャズにせよシャンソンにせよ演歌にせよ。だからこんなにまで避けて通ることもないんじゃないかと。

篠田:10年目にして(笑)。

伊東:ようやく。

―具体的に言うと、どれですか? 「とけない魔法」とか「クレイジーワルツ」とか?

伊東:「とけない魔法」は、ラブソングに思われるんですけど、私のなかでは想定してなかったです。「クレイジーワルツ」ですね。

篠田:「涙のナポリタン」もじゃない?

―でもこれは、結局「もう二度と会えない」という歌ですもんね。

伊東:そう。ただ好きだっただけっていう妄想ソングですね。



―そう考えると、やっぱり「クレイジーワルツ」が一番ラブソングの成分が濃いのかな。でもこれにしたって、あなたに会いたくてどうのこうのみたいなベタなラブソングってわけではない。

伊東:そうですね。西野カナちゃんみたいなことではないです(笑)。

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