女性メンバーを性搾取してきたカルト集団創設者、懲役120年の判決理由

異常な性支配の実態

ラニエール被告は一貫して無実を主張。弁護団が先月裁判所に提出した書類には、「被告は自らの行為や選択を悪いとは思っておらず」「いつか容疑を晴らす日が来ると確信し、力の及ぶ限り裁判で戦うつもりだ」と書かれていた。

量刑判決前の陳述でも、ラニエール被告は同じ主張を繰り返した。「私はすべての起訴内容で無実だと固く信じています。ですが同時に、みなさんの痛みはよくわかりました」と法廷で述べたあと、「真実を語っていないと思われる人々」に対しても同様だ、と付け加えた。

HBOの『The Vow』にも登場するDOSの奴隷だったサラ・エドモンソン氏、ラニエール被告の子供を出産したネクセウム元幹部のクリスティン・キーフ氏、そして15歳の時にラニエール被告と性的関係にあったDOSの元メンバー、カミーラさんなど、大勢のネクセウム元メンバーが、ラニエール被告の被害者として意見陳述を行った。

「あなたはリーダーでも、指導者でも、教祖でもありません」。事前に収録されたエドモンソン氏の意見陳述が法廷で再生された。「あなたは嘘つきの寄生虫で、詐欺師です」

【画像】「性奴隷」の実態を証言した元女性幹部たち(写真6点)

カミーラさんは意見陳述で、ラニエール被告が彼女の人生に及ぼしたトラウマを初めて公の場で延々と語った。13歳の時に初めて会った後、15歳の時から性的関係を持つようになった。「彼は私がウブなのを利用して、性的なことだけでなく、精神的にも勝手し放題でした」。そういってカミーラさんは、ラニエール被告から家族と縁を切らされたこと、裸の写真を撮らされたこと、妊娠したものの中絶させられたこと、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)をうつされたこと、そのために子宮頚部形成異常に罹ったことなどをつぶさに語った。「彼は高潔という名のもとに虐待を隠蔽しました。ですが、児童虐待に高潔なところなど何ひとつありません」(さらに質の悪いことに、ラニエール被告を擁護する50通以上の手紙のひとつはカミーラさんの父親ヘクター氏が書いたものだったと、ガラウフィス判事はのちに明らかにした。「正直、こうした手紙を書くことでラニエール被告を助けられると考えた人がいることに驚きを隠せません」と判事は述べた)。

ラニエール被告の別の被害者、インディア・オクセンバーグさんも意見陳述を行い(彼女の母親キャサリン・オクセンバーグは『The Vow』にも登場する)、ラニエール被告から食事制限をさせられ、無理やり20ポンド減量した結果、生理が止まるまでのおぞましい経過を詳しく語った。「あなたは私を、飢えて、か弱く、簡単に操れる12歳の少女のようにさせたがった」。また性行為の相手を待つ間、被告が彼女を全裸で横たわらせ、彼女の股間に入れた自らのイニシャルの焼き印を夢見心地に指でなぞっていた、とも語った。「一塊の肉として、焼き印を入れられ、洗脳された性の奴隷として」自分の存在が世間に知られたことは「想像を絶する辱め」だ、と彼女は言った。

Translated by Akiko Kato

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