投資家から指示される、米「バーチャルアーティスト・レーベル」が仕掛ける新しい試み

ワーナー・ミュージック・グループは、所属アーティストとSpirit Bombをリンクさせる詳細についてはまだ明かしていないものの、同社のチーフ・デジタルオフィサー兼ビジネス・デベロップメント部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるオアーナ・ルクサンドラ氏は、Spirit Bombのマーケティングとアーティスト・コラボーレションのポテンシャルに熱い視線を送っている。「私たちは、所属アーティストの独創的なビジョンを強化し、ワクワクするような新しい方法でファンの愛着心を育めるような、革新的なパートナーを常に探し求めています」とルクサンドラ氏は語る。「そのためには、コネクションを増やすことが未だかつてないほど重要になっているのです」。

ライバルのデジタルアーティストのリル・ミケーラ——Instagramのフォロワーは300万人で、金銭面で魅力的なマーケティングチャンスをいくつも擁する——が極めてリアルなイメージを表現する一方、Spirit Bombのデザインはよりインダストリアルな印象を与えるかもしれない。Xenには、唇から目元にかけて機械のような模様がある。紫色の肌が特徴的なSubiやエイリアンのように不気味なAnti-Fragile(デフォルメされたヤギに似ている)といった同社の強烈なキャラクターたちと比べると、Xenのデザインは抑え気味かもしれない。予定では、Anti-FragileがSpirit Bombのリリース第1号となる。


Strangeloop Studios*

しかるべき方法で実行されれば、Spirit Bombの最大の強みは知的財産となる。同社は、音楽を最重要プロダクトとみなすレーベルであるとサイモン氏が語る一方、社内的にはマルチメディア映画撮影スタジオにもっとも近いと言えるかもしれない。各キャラクターは、音楽や映画、さらにはビデオゲームといった数え切れないほどのコンテンツの象徴なのだ。それにこうしたキャラクターはSpirit Bombの生粋の作品であるため、同社は好きなように利用できる。生身のアーティストにつきものの複雑なライセンス契約に合意する必要もないのだ。

「私たちのキャラクターは、セットやスタジオにいながらTwitchのストリーミングも同時で行えます」とサイモン氏は話す。「キャラクターはデジタル空間に完璧に組み込まれており、固有のIPによってさまざまなデジタルメディアを簡単に行き来できるのです」。

Translated by Shoko Natori

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