MONO NO AWAREの曲作りのポイント、「何かと何かがつながる瞬間の喜び」を玉置周啓が語る

MONO NO AWAREの玉置周啓(Photo by Mitsuru Nishimura)

MONO NO AWAREの新曲「ゾッコン」が、9月11日より公開されているアニメーション映画『海辺のエトランゼ』の主題歌に起用され話題となっている。

紀伊カンナのデビュー作であり、祥伝社『on BLUE』で連載された人気BL漫画『海辺のエトランゼ』は、沖縄の離島を舞台に小説家の卵である橋本駿と、両親のいない高校生である知花実央の甘く切ない心の交流を描いたラブストーリー。待望のアニメ化となる映画では、スタジオ雲雀が制作を担当し紀伊も監修とキャラクター・デザインで参加するなどその世界観を余すことなく映像化している。

そして今回、主題歌のために書き下ろされた「ゾッコン」は、ヴォーカル&ギターの玉置周啓が18歳の時に制作したデモを元にバンドアレンジを施したもの。切ない恋心をキラキラとしたサウンドに乗せたMONO NO AWAREにとっても「新境地」と言えるような楽曲に仕上がった。

そこで今回RSJでは、田巻にインタビューを敢行。新曲「ゾッコン」にまつわる一風変わった(?)恋の話など、普段あまり聞くことのできない貴重な話をじっくりと伺った。



─新曲「ゾッコン」は、アニメーション映画『海辺のエトランゼ』の主題歌として書き下ろされたものだそうですが、そもそもの経緯はどのようなものだったのですか?

玉置:この映画のプロデューサーが、たまたまCDショップで流れていたMONO NO AWAEの曲を聴いてくださって、それがきっかけでオファーをいただきました。まずは原作の漫画を読んでみて、僕らに出来るかどうか決めようということになったのですが、もともと僕は漫画が大好きなので、「おそらくやりたいと思うだろうな」と思いつつ読んでみたら、案の定面白い作品だったので引き受けさせてもらいました。

─特に魅力を感じたのは?

玉置:まずは絵の綺麗さに惹かれました。母親が少女漫画オタクで、家には80年代の少女漫画が家にたくさんあったので、僕も少年漫画ではなく少女漫画を読んで育ったんです。例えば萩尾望都のような、1枚の絵に「どのくらい時間をかけてるんだ?」というくらい緻密で美しい世界観が大好きで。『海辺のエトランゼ』はポップなストーリーではあったけど、まずはその綺麗な絵に惹かれて「やりたい」と思いました。

─原作はいわゆる「BLコミック」ですよね?

玉置:BLは初めて読んだんですけど、ストーリーそのものはとても普遍的だと思いました。自分の思いをはっきりと伝えられない側と、躊躇なく伝えられる側がいて、伝えられない側が葛藤しているのに対し、伝える側がポーンと跳躍して飛び込んでくる。一言でいえば「愛の肯定」がテーマだなと思いました。すごくいいお話でしたね。

─舞台は沖縄の離島ですが、八丈島出身の玉置さんとしては何か感じるものはありましたか?

玉置:もちろんリンクしましたし、最初それもあってオファーされたのかなと思ったんですけど、そこは全然関係なかったみたいですね。曲作りそのものにはそれほど投影されなかったけど、海が見える景色を目にするたび故郷が懐かしくはなりました。

─主題歌ということで、制作サイドからは何かリクエストはありました?

玉置:「映画館から走って帰りたくなるような曲にしてほしい」と。漫画自体、すごく落ち着いたトーンで終始進むんですよ。大きな山場を作るというよりも、日常が続いていくような感じ。なので、エンドロールではしっとりと感動させる曲ではなく、ライトで爽やかな曲が流れて欲しいと。要するに、席から立ち上がれなくなるような曲ではなく、すぐに飛び出したくなるような曲ということですよね。

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