現代はハーフタイムが覇権を握っている時代? 鳥居真道がトラップのビートを徹底考察

そんなわけで、これよりアリアナの「positions」にコミットしていきたい。このトラックではトラップよろしくバックビートにTR-808のクラップの音が使われています。文字通り手拍子を模した音です。それでは、曲に合わせて実際に手拍子を打ってみましょう。さあ、どうぞ。

どうですか。わりと暇じゃありませんか。なんだか片手間で取り組んでいるような感じ。この暇さこそがまさにトラップの掴みどころがなさだったのかもしれないと今にして思います。だら〜んとした印象を受けるというか。次はこの暇さ加減を解消するために、手拍子を倍にして打ってみましょう。「ワン・ツー・スリー・フォー」と4拍すべて手拍子を打つということです。

どうですか。暇ではなくなりましたが、なんというかベタッとしていて野暮ったい感じではありませんか。いまいち曲調にマッチしてもいない気もする。続いて、倍。さらに倍。さきほどの「ワンツースリーフォー」という長さはそのままに、拍を2等分して「ワン・エン・ツー・エン・スリー・エン・フォー・エン」といった具合に、8分刻みで手拍子してみます。

どうですか。ちょっと忙しないですね。「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」と煽っている感じ。それに、バックビートで手拍子を打っているとき特有のノリのようなものが失われてしまいました。

手拍子元来の感覚を取り戻すために、音を間引いてみます。先程まで「ワン・エン・ツー・エン・スリー・エン・フォー・エン」と刻んでいたものを、長さはそのままにして、「ワン・ツー・スリー・フォー・ワン・ツー・スリー・フォー」というふうに捉え直してみます。つまり1小節を半分に分割して2小節に分けるということです。そのうえで、新たに設定した2拍目、4拍目で手拍子を打ってみます。原理的には、「ワン・エン・ツー・エン」の「エン」のみ手拍子を打つのと一緒です。

どうですか。しっくり来ませんか。思わず「This is it」と言いたくなりませんか。気の持ちようでは? と言われてしまえばそれまでなのですが…。ともかく、これがテンポを倍で取った場合の手拍子の打ち方となります。ゼイトーヴェンのリズムの刻み方もこれに準拠したものです。

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