清春が語る「少数派」の生きる道、コロナ禍の配信で新たな表現を模索

最初は良くても2回目以降は絶対に数字は落ちる

-音楽とは違うところで。

音楽に対する解釈が違うんですよね。それはうちのファンも例外ではなくて、僕は音楽を聴いて欲しい、感じて欲しいって言ってるけど、やっぱり見た目とかを重視して見ている人もいます。それでも応援してくれてる人には感謝ではあるんですけどね。

―何がポイントかっていうのは、強制は出来ないですからね。

そうですよね。もちろん、ちゃんと音楽を聴いてくれている人はいて、アルバムだろうがDVDだろうがライブだろうが配信だろうが手放しで楽しんでくれている人もいるんだけど、現実問題、うちのファンクラブの人数の25%しか配信ライブをまだ見ていないというデータもあって。

-結構どこもそうなんじゃないですか? この新しいツールに対応出来ていない層がいる。

やっぱり、配信だと映像なので、どうにかしたら録画出来ちゃうんですよ。人に送れちゃったりもするし、そういうのもあると思います。それに、配信ライブのチケットって大体平均して3000円〜4000円くらいの中、僕は音源ダウンロード付きで7000円にしているので。自分としてはそのくらいの価値はあると信じているんですけどね。結局のところ、誰のためにやっているかということだと思うんです。僕の場合、この配信という新しいツールにも手を出してくれるような人たちのためにやっていて、自分の歌っている姿やパフォーマンス、映像に価値を感じてくれる人たちのためにベストパフォーマンスをするのであって、普段ライブに行かない人たちが配信ならチケット代も安いし見てみようかっていうことにはしたくないんですよ。

-なるほど。

チケット代を安くした方が良いんじゃない?っていう意見もあるよね。だけど僕はそれ全く違うと思ってる。もしチケット代安くするなら、無料にした方がいいですよ。無料でYouTubeで生配信とかすれば良いじゃないですか。結局は、どっちに振り切るかですよね。

―本来は質を求めていくべきだし、特にコロナが表現の世界に与える影響って、不要不急じゃないですけど、「量的な成長」から「質的な発展」へだと思っていて。

そういう物の価値を感じてくれる人たちだけに見てもらえればいいっていうのを言っていく人がいないとこの国の文化、この国の音楽業界はもっと早く崩壊しますよね。今すでに崩壊しているのかもしれないけど。あとは、何事もそうだけど、コンスタントにやっていた方がいいんですよ。最初は良くても2回目以降は絶対に数字は落ちるものなんです。そこで手を変え品を変えをせず、コンスタントに同じものをやり続けることが出来るのが実力のあるパフォーマーだとは思います。

−小手先の変化に頼らず、ずっとやれるっていう。

例えば周年とかでもないのに“今日はファンの選んだベスト選曲でいきます”とか、そういうので苦し紛れにずっとやっているとダメになる。レストランで言えば、同じメニューを出すっていうことが大事。今日はライス無料とか、トッピング無料とか、そういうことを繰り返していると普通の営業が苦しくなるので、ベーシックが一番自信あるんだっていうことを立証していかないと。

−確かに、良いお店ってそういうことしないですよね。

出前すらしないですよ。

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