Kroiが語る、「ネオミクスチャー感」を司るグルーヴの背景

新曲「HORN」が描く「幻想」とは?

─そして、新曲「HORN」について。アフロビートにも接近するようなパーカッシブなリズムアプローチが抜けのいい歌を疾走させていて、Kroi特有のグルーヴの濃度を保ったままポピュラリティを拡張していると思います。テンポは速いけれど、単に“速い曲”という印象で終わらないなと。

内田:「HORN」はすごいスピード感で完成した曲なんです。デモをみんなで聴きながら次に録る曲を決めるミーティングがあったんですけど、その朝に現状上がってるデモだけでは少ないんじゃないかと思い始めて、ストックしてあったデモを大量に送ったんです。結果的にミーティングで上位に残ったデモのほとんどがその日の朝に送ったもので。「HORN」のデモはその中でもさらに上位に入ったものでした。コロナの自粛期間中に曲を作りたかったのにどうしてもできなくて、ちょっと外に出られるようになったタイミングでやっとできた曲なんです。そのときにいっぱい曲を作ったので、「HORN」もいつできたのか覚えてないんです(笑)。でも、パーカッションを入れたいというイメージは最初からありました。

関:デモが上がってから1カ月しないで完成までもっていきましたね。

長谷部:今まで聴いたデモの中でも新しい感じがありました。一聴すると明るい曲調ではあるし、ポジティブな感触があるじゃないですか。それが新鮮でしたね。

関:リズムパターンも今まではファンクな要素が強めだったんですけど、「HORN」は曲として終始スムーズな疾走感があって突き抜けていく感じがありますよね。あと、今回はソロというソロがない。そういう意味でも新鮮さがあると思います。

益田:Kroi史上最速の曲なんですよね。BPM137で、90とか70台の曲もあるから、テンポの速さに慣れるのが最初は大変で。

内田:でも、速く聴こえないというのはすごく大事なポイントだと思っていて。身体を揺らしたときに「あれ、今までと違う」と感じてもらえると思う。

千葉:ドラムのコンプ感とかで速いビートに聴こえたらノリが軽いなと思って。そこはミックスでも意識してるところですね。



─リリックに関してはどうでしょう? 内田くんのリリックには往々にして現代社会に対するシニカルなまなざしがあり、それが受け手の意志によってポジティブにもネガティブにも変容する筆致を持ってると思います。

内田:「HORN」も最終的にはネガティブな着地をしているんです。“幻想”をイメージしてリリックを書いたんですけど、「本当につらいことがあったら幻想の中に行っちゃえ」と歌ってる。ハッピーエンドで終わりたくないんですよね。基本的に。自分たちの曲で元気になってもらえるのはすごくうれしいんですけど、深みを持たせたい。聴いた人が「これは明るい曲なの? 暗い曲なの?」って考えてもらうくらいがちょうどいいなって。やっぱり作品だけでは終わらせたくない。それが作詞をするうえでも美学になっていると思います。

─最後に、近いうちにバンドとして成し遂げたいことってなんですか?

内田:やっぱりワンマンライブかな? Kroiはライブバンドなので。

関:そうだね。まだワンマンをやったことがないので、早いうちに実現させてちゃんと成功させたいですね。せっかくのワンマンなので会場にもこだわって、今はコロナでこういう状況ですけど、しっかりお客さんも入れられる状況で開催したいです。今はそこに向けての準備期間でもあるのかなって。

千葉:それまでにいい曲をいっぱい作っていきたいです。


<INFORMATION>


 「HORN」
Kroi
配信中

無料配信ライブ
Kroi STREAMING LIVE "BOX"
2020年11月4日(水)23:15~
https://live.line.me/channels/52/upcoming/15113277

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