トランプ大統領も偏愛、謎の女性記者とニュース専門局の正体

2020年4月10日、米ワシントンDCのホワイトハウス記者会見室で行われたコロナウイルス・タスクフォースの定例会見で質問する、OANのシャネル・リオン氏(Photo by Alex Wong/Getty Images)



リオン氏の経歴

彼女のWEBサイトには、1996年にビル・クリントン大統領が再選立候補したのを受けて政治に開眼した、とあるが、この時彼女はまだ6歳にもなっていなかったはずだ(リオン氏は保守派寄りと思われるメディアとはほぼ独占的にインタビューを受けているようだが、弊誌の再三のコメント取材依頼には返答はなかった)。本人いわくテキサス州に生まれ、ミズーリ、テキサス、フロリダで育ったが、1996年に父親に連れられ一家で韓国に移住したとも書いている。その理由として「父は私たちに、社会主義の堕落ぶりや、社会主義の象徴がクリントンであることを教えようとしました。社会主義の実態を目の当たりにさせようとしたんです――実際にどれほど人々や人間の幸せを破滅させているかを」

リオン氏のルーツは少々あやふやだ。理由のひとつは、タブロイド紙デイリー・メイルの報道によれば、リオン本人が敢えてうやむやにしているからだ。昨年ホワイトハウスのメディアパス申請の際には、本名のシャネル・ヌミ・ダイン・ライアンからシャネル・リオン氏に改名した。おそらく父親が不動産投資詐欺を働いたかどでたびたび民事裁判で訴えられ、ダンフォード・ダイン・ライアンやデヴィッド・マイケル・ライアンなど数々の偽名を名乗っていたこととも関係があるだろう(父親にコメント取材を依頼したが、返答は得られなかった)。リオン氏の祖母で、パステルカラーに髪を染めたカンザスの霊媒師エイリーン・カニンガム氏も食わせ者として知られている。もっとも有名なところでは、オプラ・ウィンフリーの立身劇や、1970年代のレコーディングアーティスト、ダニー・オズモンドの長期的成功を予言したとして注目を浴びた。

リオン氏いわく、一家はアメリカ国内・国外を転々とし、両親は彼女と2人の兄弟を自宅学習させていたという。「私にとっては、生まれ育った世界が教室でした」。2017年のインタビューで彼女はこう語っている。その後彼女はハーバード・エクステンション・スクールに入学する――WEBサイトでの本人の主張とは違い、ハーバード大学ではない。ハーバード大学の分校はリモート授業と夜学で授業が行われ、入学基準もそこまで厳しくない(ハーバード・エクステンション・スクールによれば、学生は入学前の3つの事前授業で平均3.0点以上の成績でなくてはならない。本家ハーバードの場合は4.18点以上。雲泥の差だ)。

ハーバード・エクステンション・スクール時代、リオン氏は生粋の保守派としての資質を現し始め、2015年にライフスタイル季刊誌DuJour Magazineが特集したアンスコム会の記事にも登場している。アンスコム会は小規模な右派団体で、学生新聞ハーバード・クリムゾン紙に挑発的な論説記事を掲載し、カジュアルな恋愛文化の批判や禁制的な教育環境を訴えることで有名だった。「彼らはある種、古き良き家族観を持ったラディカルな過激保守派と見られていました」。同時期にハーバードに通い、ハーバード大学民主党支部の会長だったジェイコブ・カレル氏もこう語る。見開きページに登場する彼女は、つば広の帽子に格子縞のシャツ姿で、ホワイトハウスの記者会見で見かけるグラマーな女性というよりは、古風な大学生といった風貌だ。

Translated by Akiko Kato

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