ONE OK ROCK初の配信ライブを考察、新曲「Wonder」で伝えたかった4人の信念

ONE OK ROCKは、線を超えて行く

今さら改めて彼らの足跡を振り返ったのは何故か? 「Wonder」に窺えたロックの原点回帰と「僕らが新時代のリーダーだ」というステイトメントはつまり、ここまでの長い道のりで表してきたことを凝縮し結晶化させたものだと感じたからだ。「ロックバンドとして」という言葉が重用された英語のアナウンスにも表れていた通り、従来の価値観も従来の距離感も従来の社会も機能しなくなった今において、あらゆる線を超えるために鳴らされてきたロックの力を改めて信じたいのだと。そして、それを本気で信じ続けて動き続けてきたのが僕らなのだと。「Wonder」、そして「Field of Wonder」と名付けられたこのライブに込められていたのはそんな想いだったのだと思う。

ONE OK ROCKは、何にも線を引かない。線を超えて行く。だからこそ執拗なほど「お前ら」に歩み寄って、ともに歌おうとするのだ。自粛期間中にTakaが清水翔太と立ち上げた[ re: ] projectの面々--絢香、Aimer、阿部真央、三浦大知、KENTA(WANIMA)も顔を揃え、今やリリース当時とは異なる意味合いで聴こえてくるようになった「Change」ではダンサーチーム・プランチャイムを引き連れて巨大な人民祭のようなステージ見せ、「performed in memory of Haruma Miura」という言葉のもと宮本笑里(Violin)、GAKUSHI(Key)を迎えた「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」では悲痛なほどの絶唱を空に放つ。どうしたって救えない人がいること、今はどうしたって縮められない距離感があることを受け入れながら、手の届く範囲の仲間と全力で前を向く。その姿を見せ続けることが何よりのメッセージになるはずだと信じる、信念の塊みたいなライブだった。

「いろんなものを失ったよね。だけどその分、俺らも皆さんも、これから新しいものを手に入れて行けると思います。どうか諦めずに。今まで僕らが言っているメッセージとまったく同じだけど、でも少しだけ意味合いの違う『前を向いて頑張ってください』をラスト2曲にぶち込みます」

そうして放たれた「We Are」と「Wasted Nights」では、タガが外れたように叫びスレスレの歌を響かせたTaka。ZOZOマリンスタジアムの広大なピットが空撮で映し出されると、そこはカラフルな荒野に見えた。そのど真ん中で「僕らはここにいる」と歌い続ける姿は、これまでと何も変わらず道なき道を拓き続ける意志そのものに見えた。



「ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE」
2020年10月11日(日)千葉・ZOZOマリンスタジアム
01. The Beginning
02. Taking Off
03. Change
04. I was King
05. 未完成交響曲
06. キミシダイ列車
07. One Way Ticket
08. Clock Strikes
09. The Last Time
10. Start Again
11. 欲望に満ちた青年団
12. C.h.a.o.s.m.y.t.h.
13. Wherever you are
14. もう一度
15. Wonder
16. Stand Out Fit In
17. We are
18. Wasted Nights

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