米最高裁判事に指名のバレット氏、カルト信者の噂は本当か? 

元メンバーは女性を隷属させる「カルト」だと主張

検証2:カトリック主義か、それともキリスト教系カルトか?

コミュニティ構築を目指すキリスト教友愛会だという点で、他のキリスト教派と変わらない、という意見もある。だが一部の元メンバーは同グループが「カルト」で、巧みに思想を操作して女性を隷属させていると主張する。元メンバーのコーラル・アニカ・タイルさんがニューズウィーク誌に語ったところでは、女性メンバーは夫に従属することが求められ、女性が自主性を持つことは良からぬこととされた。「家長(夫)の従属者には厳しい規則が課せられます」とタイルさん。「自分の意志、願望、行動すべてを従属させるのです」(公平を期すために言えば、家父長的で夫を家長とみなす点ではその他多くのキリスト教派とさほど変わらない)。

元メンバーのエイドリアン・ライマース氏は著書『Not Reliable Guides(原題)』の中で、「People of Praise」の既婚女性は「自分が夫の権威の下に置かれていることをつねに胸に止めておくことが求められる」と記している。「夫が『家庭の主』あるいは『家族の長』であると認識するにとどまらない。事実、夫は妻の個人的宗教指導者でもあるのだ。妻がやることはすべて、少なくとも夫から暗黙の了解を得なくてはならない」。こうした疑惑についてローリングストーン誌は「People of Praise」にコメント取材を求めたが、広報担当者からは返答が得られなかった。

バレット判事が同グループと関わっていることで、彼女が最高裁判事になった場合に影響が及ぶのでは、という声も持ち上がっている。ヴィラノーヴァ大学の歴史研究家マッシモ・ファッジョリ氏は政治ニュースメディアのポリティコ紙に記事を掲載し、同グループには「透明性や、所属するメンバー、ローマカトリック教会、一般大衆に対して説明責任を果たす明確な支配構造が欠けている」と懸念を表明した。だが彼女を支持する保守派らは、「People of Praise」は善良な宗教コミュニティで、バレット判事の関与に反対するリベラル派の意見は反カトリック的な偏見以外の何物でもない、と主張している。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE