米最高裁判事に指名のバレット氏、カルト信者の噂は本当か? 

2020年9月26日、ワシントンDCホワイトハウスのローズガーデンで、ドナルド・トランプ大統領の最高裁判事候補発表に耳を傾けるエイミー・コーニー・バレット判事(Photo by Alex Brandon/AP)

ドナルド・トランプ大統領が米連邦最高裁判所判事に指名した、エイミー・コーニー・バレット氏の承認をめぐる公聴会が始まった。現在、彼女にまつわるトピックで大きな注目を集めているのが「People of Praise」だ。1970年代に米国で発足し、主にカトリック信者1700人ほどからなる団体。バレット氏は同グループとの関係について公の場でのコメントは拒んでおり、グループ側もメンバーに関する情報は一切公開していない。

とはいえ、バレット氏は子供の出産報告など、「People of Praise」の会員誌「Vine and Branches」にしばしば登場している。ただしCNNによると、2017年に彼女が上訴裁判所判事に指名されたのを境に、彼女が掲載されていた号は会員誌のWEBサイトから削除されているという。さらに判事は2015年から2017年まで、「People of Praise」がインディアナ州サウスベンドに設立したトリニティ・スクールの名誉理事も務めていた。

「People of Praise」とはどんなグループか? コーニー・バレット判事が関わっているとすれば、どんな意味があるのだろうか?

検証1:「People of Praise」は何者か?

「People of Praise」は1970年代、インディアナ州サウスベンドに設立された宗教系団体で、22の支部に約1700人の会員を抱えている。カトリック・カリスマ運動から派生し、具体的にはカトリックの儀礼に、異言や信仰療法といったプロテスタント・ペンテコステ派の儀礼をかけ合わせている。 WEBサイトには「日常生活を共有し」「金銭的、物質的、精神的に支えあう」コミュニティである、と書かれている。未婚のメンバーに対しては共同生活と資産の共有を推奨している(メンバーは収入の5%を団体に寄付している)。

各メンバーは「長」と呼ばれる教育係が割り当てられ、精神的助言や指導を受ける。過去には女性の長は「侍女」と呼ばれていたが、1985年にマーガレット・アトウッドのベストセラー小説『侍女の物語』が出版されたのを受け改名された(詳しくは後述)。幅広い信条を擁しているが、男性が一家の主であるべきで、受胎の段階から人間の生命が始まる、という意見が大半を占めている。

Translated by Akiko Kato

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