真心ブラザーズが語る、デビュー32年目にして極めた自然体

ー最近は少しずつ行われるようになりましたけど、ライブをやってはならぬ、という状況だったわけじゃないですか? それに関してお2人はどんな感情を抱いていたんですか。

桜井:まあ、事ここに至っては、致し方がないという感じで。それは、「けしからん音楽はやってはいかん」って御上が押し付けるというわけでもないから、つまんないといえばつまんないけど仕方ないというか。

ーそういう事柄に対するメッセージを、激しい曲で訴えるんじゃなくて、「不良」みたいに抒情的な曲調とアレンジで伝えるところが真心ブラザーズの真骨頂という気がします。だからこそ胸に響くというか。

桜井:うん、そこですよね。

YO-KING:そうね。あと、耳にツーンと来るギターの音が、もう耳年齢的にきつくなってきていて(笑)。カーテンのようにストロークで埋めるようなギターの音はもう、どんなに曲が良くても「うわっ」と思ってすぐ飛ばしちゃうようになっちゃった。

ー音数をどんどん少なくしていこう、という感じになっている?

YO-KING:それが今の好みなんですよね。たぶん、そこに関しては変わらないんじゃいかなあ。耳の体力の問題だから。

ー身体的に無理(笑)。

YO-KING:そう(笑)たまにレコード屋に行って、そっち系の音がかかってると「うわーきつい!」って思う。

桜井:Aメロがやたら静かでさ、サビになったらすごいことになるんだろうなって思ってると「うわ~きた!」みたいな(笑)。もうやめてよ~って。

ーそうなったのはここ数年の話なんですか?

YO-KING:いや、もう10年以上は経ってるかなあ。俺の中で最後にそういう音楽を聴いたのはRage Against the Machineだと思うから、97、8年ぐらい?

桜井:全盛期だね。

YO-KING:あと、Beastie Boysのバンドサウンドの「Sabotage」とか、The Jon Spencer Blues Explosionとかね。

桜井:でもあの辺の人たちはローファイだから、そんなにハイがきつくないでしょ。今は性能が良いギターとアンプでビョーンってデジタルでくるからさ。

YO-KING:「キリキリキリー!」ってくるもんね(笑)。

ーそれもあって、アナログの質感で音を作っていたということなんですね。

YO-KING:そうだと思いますよ。自分の耳に優しい音、ずっと聴ける音にしたいというか。

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